大阪市北区のJR大阪駅近くで今年3月、地中から巨大な鋼管が地上13メートルまでせり上がった事故で、現場と同種の地盤では施工実績のない工法で鋼管が埋設されていたことが、関係者への取材で分かった。
軟弱地盤で摩擦力不足
現場は地下水を多く含んだ軟弱な粘性土層が大部分を占めていた。この工法では鋼管と土の間に摩擦力が十分に働かず、浮力でせり上がったという。市は受注業者の事前検討やリスク評価が不十分だったとみている。
鋼管は内径3.5メートル、長さ27メートルで重さ56トン。都心部の浸水対策で新設する雨水貯留施設と既存の下水管を接続する工事を行っており、鋼管は二つの管をつなぐ作業を進めるための「立て坑」として使われる予定だった。
充塡材を使わない工法
関係者によると、一般的には埋めた鋼管と地盤の隙間に「充塡(じゅうてん)材」と呼ばれる土の中で固まる液体を注入し、鋼管が浮き上がらないように摩擦力を高めるという。だが今回、業者は充塡材を使わない工法を採用していた。
このため、十分な摩擦力が働かず、浮力によって鋼管がせり上がったという。鋼管を地中に埋める際に、土との摩擦抵抗を減らすために入れた滑剤が残り、影響した可能性もあるという。
今後の対応
市は今後、せり上がりを防止する追加の安全対策を講じた上で、今月下旬以降に当初の接続工事を再開する予定だという。
事故は3月11日朝、新御堂筋の高架下の路面から鋼管がせり上がっているのが発見された。鋼管の上部からアスファルト片が落下し、車に乗っていた2人が急ブレーキをかけたことにより負傷した。現場周辺では交通規制が続いた。



