警察庁によると、昨年1年間の山岳遭難者数は前年より266人増え、過去最多の3623人となった。クマに襲われるケースは前年の3倍の27人に上った。今年に入っても東京・奥多摩や青森・八甲田山系で登山者らがクマに襲撃され、地元自治体が登山道の閉鎖に踏み切った。
クマの生息状況と対策
クマは九州・沖縄を除く幅広い地域に生息し、近年は個体数が増加している。地球温暖化で食料となる木の実が増えたためだと指摘されている。一方で、ハンターの数が減り、人を恐れない個体も増えている。クマは臆病な動物だが、山中で人と鉢合わせすると驚いて興奮状態になり、襲ってくることがある。入山時には、人の存在を知らせるため鈴やラジオを鳴らしながら歩き、クマよけスプレーも常備することが望ましい。登山道の近くに食料を捨てるとクマが食べて味を覚えるため、食べ残しの食品は必ず持ち帰らねばならない。
遭難の主な原因と防止策
昨年の原因別では「道に迷う」が全体の31%、「転倒」が19%、「滑落」が17%だった。登山者向けのスマートフォンアプリには、圏外でも人工衛星の電波を受信して現在地を示すものがあり、道迷い防止に役立つ。転倒や滑落を防ぐには滑りにくい登山靴が重要だ。山での事故は基本的に自己責任であり、万一の救助費用に備え山岳保険への事前加入も検討すべきだ。遭難者の多くは中高年で、疲労で動けなくなりヘリコプターで救助されるケースや、死亡する場合もある。入山前には体調管理に万全を期すことが大切だ。
登山環境の整備と安全な楽しみ方
登山人口は490万人に上り、登山者の来訪が地元経済を支えている地域もある。自治体などは登山道や外国人向けの案内板の整備に力を入れる必要がある。夏雲がわき、緑が濃さを増す夏山は大自然の魅力にあふれている。無事に下山できるよう、安全な登山を心がけてもらいたい。



