琵琶湖の竹生島(ちくぶしま)や多景島(たけしま)を巡る旅客船を運航する旅行会社「近江トラベル」(彦根市)は19日、旅客船「Kirari(キラリ)」(旅客定員180人)を適正な検査を受けていないプロペラで約11年間運航させていたと発表した。近畿運輸局は船舶安全法に違反するとして同社を立ち入り検査し、実態を調べている。
プロペラ変更と検査の経緯
発表によると、キラリでは2015年2月、航行時の船の振動を抑えようと、船舶検査手帳に記載する3翼のプロペラを5翼のものに変更したが、同法で義務づけられた申請をしなかった。18年と22年の定期検査は3翼のプロペラに戻して受検した。船長が、3翼から5翼への変更を申請すれば検査に時間がかかると判断したという。
予備燃料タンクも未申請
同社は今月4日、検査手帳と異なるプロペラが付けられていると船員から申し出があって事態を把握した。調査の結果、約13年前に設置した予備燃料タンクも未申請だったことが判明。別の旅客船「第6わかあゆ」のデッキ席8席を19年に取り除いた際の変更申請も怠っていた。事故やけが人は発生していないという。
経営陣が謝罪、全便運休に
伊藤孝樹代表取締役はこの日、彦根市で開いた記者会見で「現場への教育が不十分で、定期検査の手続きや現場の業務実態を経営陣が長年把握できていなかった」と陳謝した。
同社は琵琶湖航路で「第5わかあゆ」を含め計3隻を就航。彦根港から竹生島、多景島をそれぞれ往復する航路と彦根沖周遊の計3ルートあり、25年度は計約4万8000人が利用した。安全が確認できるまで、全便を運休する。



