近鉄の京都駅構内で6月、始発電車が脱線した事故から29日で1カ月になる。近鉄や国の運輸安全委員会が原因を調査中だが、専門家は過去の事故と類似点があるとし、原因を考えるうえで、現場カーブの特殊性と車両の重さに注目する。
事故が起きたのは6月29日午前5時13分ごろ。京都発橿原神宮前行きの普通電車(4両編成)が時速約20キロで走行中、2、3両目が、駅からおよそ120メートル離れた地点で脱線した。運転士ら乗務員3人と乗客30人にけがはなかった。
乗り上がり脱線の可能性
事故原因を考えるにあたり、JR西日本安全研究所の元研究員で、関西大の吉田裕教授(交通システム安全論)は、2000年3月に発生し、5人が死亡した営団地下鉄(現・東京メトロ)日比谷線の脱線衝突事故が参考になると指摘。「乗り上がり脱線」が起きた可能性があるとみる。
乗り上がり脱線は、車輪がレールを下方向に押す力(輪重)が減り、横方向に押す力(横圧)が増すことでレールに乗り上げることで起きる。
日比谷線事故の報告書によると、事故車両はもともと輪重が左右で異なっていたうえ、現場は半径約160メートルの急な上りカーブだった。そのため、カーブ通過時に輪重のバランスが崩れ、横圧が増したことで、脱線したと推定している。
吉田さんは、近鉄の事故も「線路や車輪の摩耗に加え、カーブ通過時に車体が左右にねじれたことで、乗り上がり脱線が起きた可能性がある」とする。根拠として、二つの要点を挙げる。
一つ目は「線形」だ。記事の後半ではイラストともに、現場カーブの特殊性や車両の重さが、脱線につながった可能性について詳しく解説している。



