放置遊覧船撤去に3300万円、同業者の沈没船2隻も判明 川崎
放置遊覧船撤去に3300万円 同業者の沈没船2隻も

川崎港に放置され、沈みかけていた遊覧船の撤去を川崎市が行政代執行で進めており、その費用は約3300万円に上ることが明らかになった。さらに、この船を運航していた業者が、近くで他の2隻も沈没させていたことが判明。うち1隻とみられる船は、市が3年前に撤去していたことも分かり、放置船舶への有効な対処法がないまま税金が使われている実態が浮かび上がった。

裁判記録と市の取材で判明した経緯

遊覧船が係留されていた桟橋を所有する工場側と運航業者側の裁判記録、および川崎市への取材で一連の事実が明らかになった。裁判記録によると、運航業者は2018年5月に工場と桟橋使用契約を結んだが、同年11月分から賃料の支払いが滞った。同時期、川崎市は遊覧船の係留が市条例で「工業港区」と定められた桟橋の利用目的に反するとして、工場側に船の移動を指導していた。

工場側は2019年10月、運航業者を相手取り、東京地裁に船の移動と未払い賃料の支払いを求めて提訴。訴訟の中で、運航業者が遊覧船の近くに小型船舶(全長11メートル、4.9トン)とプレジャーボート(全長3メートル)を沈没させていることも明らかになった。

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3300万円の撤去費用と行政代執行

川崎市は2026年6月17日から行政代執行により遊覧船の撤去作業を開始。費用は約3300万円で、全額が税金から賄われる。撤去された船は、浸水により傾いており、周辺の航行安全や環境への影響が懸念されていた。市の担当者は「放置船舶の撤去には多大な費用と時間がかかる。再発防止策が急務だ」と述べている。

さらに、今回撤去中の遊覧船の運航業者が関与した別の沈没船について、市は2023年に1隻を既に撤去していたことも判明。当時の撤去費用は非公開だが、同様に公費が投入されたとみられる。残る1隻の小型船舶については、現在も海底に沈んだままで、撤去のめどは立っていない。

放置船舶問題の根深さ

川崎港では、放置船舶が後を絶たない。船舶の所有者が行方不明になったり、撤去費用を負担できなかったりするケースが多く、自治体が代わりに撤去せざるを得ない状況が続いている。今回の遊覧船も、運航業者が倒産した可能性が高く、市が費用を負担して撤去に踏み切った。

専門家は「放置船舶に対する法的な規制や罰則が不十分で、抜本的な対策が必要だ」と指摘する。国土交通省は2025年に放置船舶対策のガイドラインを策定したが、強制力はなく、自治体の負担は増す一方だ。

川崎市は今後、沈没したままの小型船舶についても、所有者への指導や法的手続きを進める方針だが、費用や時間の問題から、撤去は困難を極めるとみられる。

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