物価上昇が続く中、スーパーの市場環境は一段と厳しさを増している。流通アナリストの中井彰人氏によると、2025年度の上場スーパー23社のうち、増収増益を達成したのは14社に上るものの、営業利益率が改善したのはわずか7社(約30%)にとどまり、残る16社は悪化したという。この数字が示すのは、表面的な好調の裏で、多くのスーパーが利幅の圧縮に苦しんでいる実態だ。
インフレとコスト上昇がスーパーを直撃
スーパー業界は、物価上昇の中で価格転嫁が難しく、粗利率に相当する営業総利益率が改善したのは23社中12社にとどまった。一方で、人件費や電気代の高騰により販管費率が上昇した企業は12社にのぼる。この結果、営業利益率の改善は少数派となり、業界全体として収益環境が悪化していることが浮き彫りになった。中井氏は「スーパーは物価上昇の影響を価格に反映しにくく、利幅が薄くなりがち。その上でコスト増が重なり、営業利益率が悪化する流れが続いている」と指摘する。
好調企業の共通点:総合スーパーからの脱却
厳しい環境下で増収増益かつ営業利益率改善を達成したのは、バローホールディングス(以下、バロー)、ライフコーポレーション(以下、ライフ)、アークスの3社だ。ただし、バローはドラッグストアやホームセンターなど複数業態を展開しているため、純粋なスーパー事業ではライフが最大かつ業績好調な筆頭格と位置づけられる。
ライフは、ダイエーやイトーヨーカ堂、イオンなど総合スーパー全盛の時代にあって、異なる道を選択した。創業者の故清水信次氏は、大阪を拠点に食品スーパーとして地道に成長を続け、後に東京へ進出。現在は大手商社三菱商事が筆頭株主となり、商社系スーパーとして業界屈指の地位を築いている。中井氏は「ライフは総合スーパーの道を選ばず、大都市圏の食品スーパー特化戦略で生き残った」と分析する。
大都市圏強化と競合激化
スーパー各社は大都市圏でのシェア拡大に注力している。特に、まいばすけっと(イオン系小型スーパー)の成功を背景に、競争は一層激化。ライフは大阪と東京の「二刀流」で強固な地盤を築き、ヤオコーなどとの競合も避けられない状況だ。中井氏は「大都市圏では、コンビニやドラッグストアも含めた業態間競争が激しく、淘汰されるのは中堅・中小スーパーが中心になる」と予測する。
スーパー戦国時代の勝者と敗者
物価高とコスト増が続く中、スーパー業界は「戦国時代」に突入した。生き残るためには、規模の拡大や業態の多角化、あるいは特定地域への集中が鍵となる。ライフのように大都市圏で食品スーパーとして特化し、効率的な運営を実現した企業が勝ち組となる一方、総合スーパーからの転換に失敗した企業や、コスト競争力の弱い中堅・中小は厳しい立場に立たされる。中井氏は「近所のスーパーが消える現象は、この競争の帰結として今後も続く」と警鐘を鳴らす。



