岩手県立病院・診療センターの医師や看護師らが入居する職員公舎全1028戸のうち、半数近くが空室になっていることが、県医療局などへの取材でわかった。県立病院・診療センターの赤字決算が続く中、県は空室の公舎の売却を進めているが、買い手が現れず、長く放置されているケースもある。
公舎の種類と空室の実態
県内25の県立病院・診療センターの職員公舎には、病院長や診療科長らが入居する一戸建てタイプの「一般公舎」と、それ以外の医師や看護師らが入居する集合住宅タイプの「合同公舎」がある。いずれも県立病院・診療センターの開設時に整備されたとみられ、築約60年の建物も含まれる。
県医療局への取材や読売新聞が情報公開請求で入手した県の内部文書によると、昨年8月時点で一般・合同公舎全1028戸の47%にあたる480戸が空室だった。このうち一般公舎では全73戸中25戸、合同公舎では58棟全955戸中455戸が空室だった。現在も半数近くが空室のまま放置されているとみられる。
遠野病院の事例と売却の難航
合同公舎58棟のうち、すべて空室だったのは6棟。遠野市の県立遠野病院の第2合同公舎は、6世帯が入居できるファミリー向けの公舎がすべて空室になっている。公舎は延べ床面積が約400平方メートルあり、JR遠野駅や遠野市役所まで約1キロの好立地にある。
一般的に公舎の家賃は相場より安いが、古い施設が多く、公舎を選ばず民間賃貸住宅に住む医師らが増えていることが空室増加の要因とされる。
県医療局は、空室になっている一部の公舎の売却を進めているが、築40~50年経過しているものもあり、買い手が現れないことが多い。県立中央病院の医師らが入居する盛岡市の築56年の一般公舎は、2001年2月以降空室になっており、県は07~25年度に公告を出したが、購入希望の問い合わせはゼロだった。20年近く買い手が現れなかったため、今年度は公舎の評価額などを再鑑定しているという。
今後の方針と財政状況
こうしたケースでは、県有未利用資産の処分方針で、公舎を解体して更地にし、土地を売却することになる。だが、施設の解体費がかかることから、まずは空室状況などを調べた上で選別し、公舎のままでの売却を目指している。
一方、25年度の県立病院・診療センターの最終損益は24億5600万円の赤字だった。赤字は3年連続で、20ある県立病院のうち黒字は5病院にとどまった。
県医療局の担当者は「財政状況が厳しい中で、公舎は貴重な財産。立地的に売れる可能性のあるものもあり、どのような形での売却が望ましいか慎重に検討していきたい」としている。



