本格的な海水浴シーズンを迎え、石川県警と海上保安庁が事故防止を呼びかけている。県内では昨年遊泳中の事故で2人が死亡しており、関係者は「ライフセーバーや監視員のいる所で泳いでほしい」と注意を呼びかけている。
金沢海上保安部や消防などの関係者が参加した訓練は、内灘町の内灘海水浴場で今月3日に行われた。訓練は成人男性3人が沖に流されたとの想定で、消防隊員と同海保の潜水士7人が横一列で泳いで捜したり、消防隊員が救助した人に心臓マッサージをしながらストレッチャーで砂浜から引き上げたりした。ドローンや水上バイクによる捜索も行われた。同海保は「海難事故は一刻を争うため、迅速かつ効率的な救助が必要。連携の取れた訓練だった」と振り返った。
昨年の事故状況
石川、富山、新潟などを管轄する第9管区海上保安本部(新潟市)によると、石川県内では遊泳中の死亡事故が昨年7、8月に2件発生。内灘町で男性(当時28歳)が沖合に流されたほか、穴水町では入り江で遊泳した男性(同89歳)が溺れ、2人は亡くなった。いずれも監視員やライフセーバーなどが配置されていない場所だった。
今シーズンは県内では遊泳中の死亡事故は発生していないが、富山市では6月6日、海開き前の富山市の海水浴場で中学生が亡くなったほか、今月19日には富山県黒部市の海水浴場で小学4年の男子児童が死亡した。
県警と海保の取り組み
水難事故を防ごうと、県警はホームページでポイントを紹介。海水浴場を利用することなどを求めているほか、子ども向けに「らっこ警部とのお約束」として、ライフジャケットの着用や保護者の目が届く所で遊ぶことなどを呼びかけている。チラシは学校でも配布し、県警地域課は「保護者だけではなく、子どもにも事故防止のポイントを知ってもらいたい」とする。
海上保安庁は観光客や日本に在住する外国人向けのチラシを作成し、金沢海保は県内各地の国際交流協会に配布し、説明している。第9管区海上保安本部は「波は地域ごとに特徴があり危険な場所も異なる。安全が確保された区域で遊んでほしい」と話す。
専門家に聞く 溺れない状況作り
海難事故を防ぐにはどうすればいいか。日本ライフセービング協会(東京)の高野絵美副理事長に聞いた。
――なぜ遊泳中の事故は起きるのか。
「離岸流や風などの自然的要因と、泳力不足や疲労などの人的要因が重なって発生する。海底のくぼみに足を取られて事故につながることもある」
――どう防ぐか。
「風や波の状態を観察すると同時に疲労を感じたら泳ぐのを控え、溺れない状況を作ることが重要だ」
「小さい子どもは手が届く範囲で遊ばせる。子どもが陸側、保護者が沖側に立つことで波よけとなり、子どもが流される可能性を減らせる」
――溺れた人を見つけた際に対応すべきことは。
「助けようと手を差し出すとつかまれて、救助する人も溺れる危険がある。相手を落ち着かせて浮く物を差し出す。家族が溺れた際も海に入らず、まずは助けを呼ぶ。助ける側も落ち着くことが重要だ」



