沖縄県竹富町は、日本最南端の有人島・波照間島の海水淡水化施設から排出される濃縮海水を使って食用塩を製造する事業が可能か検討する調査に入った。製塩工場が建設されれば、島の新たな産業になることが期待されている。
町議会で「日本最南端の塩」への期待
1日の町議会一般質問では、東金嶺肇町議から「(製造された塩を)『日本最南端の塩』として特産品に位置付けられば」と期待する声が上がった。
調査は企業版ふるさと納税を財源に活用し、約600万円の費用をかけて民間の共同企業体に委託した。委託先は8月からプラントの現状確認などの作業に入っている。
濃縮海水の活用と調査の2段階
波照間島の海水淡水化施設には、年間の真水製造量が210トンと230トンの2つのプラントがある。濃縮海水は海水をくみ上げ、真水を生成する過程で出る海水で、通常の海水より塩分濃度が高い。いずれのプラントでも現在は廃棄されている。
町は230トンのプラントから排出される濃縮海水からの製塩を検討する。調査は2段階で、第1段階では濃縮海水の成分を精密に分析し、食用塩として使えるか科学的に判断する。中間報告で食用塩としての利用が可能と判断されれば、最適な製塩手法や設備を比較し、工場建設の想定規模、市場調査や販路開拓、収益のシミュレーションなど、事業化可能性調査に移行する。
食用塩の製造が不可能とされれば、調査はその時点で終了するが、事業化の見込みがあれば、年度末には報告書がまとまる。
新産業への期待と町の見通し
町は「島内に製塩事業という新たな産業が誕生し、若者が島に残りやすくなる」と見込む。
町議会9月定例会の一般質問では、波照間島出身の東金嶺氏が調査についてただした。新城賢良商工観光課長は、濃縮海水を活用した製塩は通常の海水を使うより低コストと説明。「(事業化の)初期費用、維持管理経費、製造コスト、販売価格も含め調査対象」と述べた。
東金嶺氏は「塩をふるさと納税の返礼品にするなど、さまざまな展開が考えられる。雇用につながる可能性もある」と事業化の推進を促した。