北海道福島町の住宅地で、新聞配達中の男性(当時57歳)がヒグマに襲われ死亡した事故から2026年7月12日で1年を迎えた。町は悲劇を二度と繰り返すまいと、電気柵の設置や緊急銃猟訓練、ハンターによる定期巡回など、関係機関と連携した対策を重ねている。
初の緊急銃猟訓練、約50人が参加
7月10日、男性が襲撃された場所から約500メートルの町森林公園で、町が初めて緊急銃猟の訓練を実施した。ヒグマが市街地に出没したとの想定で、松前署員や福島消防署員、地元猟友会のハンターら約50人が参加。町役場から関係機関への連絡や住民への広報、情報収集などの手順を確認した。公園に居座るクマ役を見つけると、鳴海清春町長から許可を受けたハンターが駆除する流れを実践した。
事故当時、ヒグマを捕獲した男性(70)は「思い出すとつらくなり、二度とあんな事故を起こしたくない。町はもちろん、警察との連携も深めたい」と言葉を詰まらせた。
電気柵5キロ設置、草刈りやゴミ出し指導も
町はこの1年、市街地にヒグマを寄せ付けない取り組みに奔走した。供え物が狙われる墓地周辺や市街地と山林との境など、計5キロにわたって電気柵を設置。視界を遮る草を刈り、住民に適切なゴミ出しを呼びかけ、ハンターによる巡回を強化した。大千軒岳の登山道に続く林道も出没情報を受けて封鎖した。
ハンター不足と広域連携の課題
現在、道猟友会松前支部でヒグマを撃てるハンターは3人いるが、町内在住者は1人のみ。駆除はその自治体の居住者に限られるため、昨年は松前町のハンターが道職員の許可を得た上で対応に加わった。福島町によると、渡島総合振興局の職員が当時町内に常駐したため円滑に進んだという。
町は7月6日、松前町と同支部の3者で連携協定を締結。ヒグマの行動により広域的な活動が必要な場合、町やハンターが共同で調査にあたるといった内容だ。今後は出没時に他自治体のハンターでも即時に駆除に携われるよう、道に手続きの迅速化を求める方針だ。



