元遊郭「旧竹井楼」を宿泊施設に 世界から出資募り改修、来春開業へ
元遊郭「旧竹井楼」を宿泊施設に 世界から出資募り改修

奈良県大和郡山市で、明治期から残る回廊建築が特徴的な元遊郭「旧竹井楼」を宿泊施設にリノベーションする取り組みが始まった。所有者や地元住民に加え、世界中から出資を募る仕組みを取り入れることで、保全と活用を図る。今月から改修をスタートする予定で、来年4月の利用開始を目指す。

明治初期の建築、回廊と中庭が特徴

明治初期に建築されたと伝わる旧竹井楼(木造2階建て、延べ約350平方メートル)は、奥行きのある建物内に光と風を届ける中庭、それを取り囲む回廊建築が特徴だ。付近では、同様の建物が次々と解体され、今では数棟のみと、姿を消しつつある。

所有者の竹井勝利さん(53)は「この建物は長年大切に守ってきた家。個人で維持するのは大変で、どう残していけばよいのか試行錯誤していた」と語る。

世界から出資を募る仕組み

取り組みには、歴史的建造物の保全と継承の仕組みを提供する「Planet Labs(プラネット ラボズ)」(東京)が参画する。同社は、株式会社という法人格を利用して出資を募る「インベストメントDAO(分散型自律組織)」を展開。今年7月時点で、23か国・地域の約300人から1億円を超える出資金を集めている。これまでに和歌山県那智勝浦町にある国登録有形文化財の寺院の修繕費用などを調達した。

出資と改修計画、来春の開業へ

竹井家は株式の34%を出資。地元からは、空き家再生などに取り組む会社「大和郡山まちづくり」のほか、個人投資家が議決権を持つ。投資家には配当も出る。改修などに見込まれる総事業費は1億367万円で、観光庁の補助金3900万円を除く約6000万円を集める。

改修後の宿泊施設は、2人部屋が3室、4人部屋1室を設けるほか、地元の野菜などを使った調理体験ができるキッチンも設置する。運営は、近くで飲食店などを営む「KISSA(キッサ)」が担う。「大和郡山まちづくり」の大垣満社長(32)は「暮らしに寄り添う施設にして、郡山の街を愛し、また来たくなるようなサイクルを作りたい」と意気込む。

同市は、NHK大河ドラマの主人公が市ゆかりの戦国武将・豊臣秀長となったことで、観光客が急増している。市側も宿泊機能を充実させ、市内外の人的交流を促進したい狙いがある。上田清市長は「いろいろな人が来てつながりのある場となることに期待したい」と話す。改修後、一部のスペースは残したうえで、この場所で住み続けるという竹井さんは「美しく生まれ変わり、訪れる人に愛される場所になってほしい」と願っている。