緊急銃猟1年、出動可能ハンター10人未満の市町村が10に 高齢化や仕事との両立難しく
緊急銃猟1年、出動可能ハンター10人未満の市町村が10

 人里に現れたクマを市町村の判断で捕獲できる「緊急銃猟」の制度が始まり、1日で1年となった。県によると、対応マニュアルは全33市町村で整備され、遠野市や二戸市など6市町で計8件実施された。ただ、読売新聞の取材では県内33市町村のうち実際に出動できるハンターが10人未満の自治体は10市町村に上った。要件のハードルや仕事との両立の難しさなどが理由で、担い手の確保が制度運用の壁となっている。

高齢化も進む

 緊急銃猟を担うには、銃猟免許を持ち、過去3年以内に大型獣を捕獲した経験があることなど、国が定めた要件を満たす必要がある。市町村は猟友会に委託するなどしているが、要件を満たすハンターは限られる。

 読売新聞は8月、県内33市町村に対し、緊急銃猟に出動できるハンターの見込み人数を尋ねた。矢巾町と葛巻町が3人、紫波町と平泉町が5人、宮古市が6人などだった。

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 最も少ない九戸村は「最大2人」と回答した。村内では今年度、8月下旬までに52頭のクマが出没。昨年度の27頭の倍近くに達した。村の鳥獣被害対策実施隊には9人が登録しているが、本業があって都合がつきにくい人や、ライフル銃の射撃経験が十分でない人もいるという。ハンターの平均年齢は60歳代で高齢化も進む。

 村産業振興課の桂川雄平主任は「撃つだけなら1~2人でもできるが、安全確認などの作業もある。5人ほどの体制が理想だ」と話す一方、「5年後も同じ人数を確保するのは難しい」とみる。村は銃猟免許の取得費を補助し、ハンター育成を促す。

「街中で撃てない」

 7人のハンターが対応する陸前高田市の担当者は、「1人でも撃てないことはない」と話すが、訓練では3人1組で編成することもあり、複数人いれば望ましいという。

 県内最多となる3件の緊急銃猟を実施した遠野市では、ハンターとして登録されている131人のうち、市が実際に動けるとみるのは17人にとどまる。クマの模型に向けて模擬銃を構えるハンター。緊急銃猟を想定した訓練は各地で行われている(8月24日、久慈市で)。

 緊急銃猟は市街地などに出没したクマを駆除することができる制度だが、盛岡市環境企画課の渡辺聡課長補佐は「街中で銃を使えることは、ほとんどない」と明かす。弾を受け止める「バックストップ」の確保が難しいためだ。

 市で対応できるハンターは12人。今年5月には岩手大上田キャンパスの構内に居座ったクマ1頭に対し、市は初めて緊急銃猟の実施を決め、半径約200メートルの市道を封鎖した。しかし、クマがやぶに姿を隠して追跡ができなくなり、中止せざるを得なかった。

各地で訓練

 遠野市はスムーズな緊急銃猟を実施するため、警察との連携強化を図る。交通規制や通行人の避難を速やかに行う必要があるためで、市は昨年から警察と訓練を重ねてきた。ただ、3件のうち捕獲できたのは2件。市は「周辺に住宅が少なく、たまたま運が良かっただけ」とする。

 市町村の緊急銃猟を支援するため県は3月、狩猟免許を持つ職員「ガバメントハンター」5人を採用。自治体の習熟度を高めるため、8月24日には久慈市で緊急銃猟を想定した訓練を実施した。今年度は盛岡と沿岸、県南地域でも同様の訓練を行う予定で、県の担当者は「訓練を重ねてもらい、市町村主体で対応できるように支援したい」と話す。

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