地震や水害が相次ぐ中、防災訓練のあり方を見直す必要がある。災害の被害を減らすには、早期の避難と日ごろからの備えが欠かせない。そのためには防災訓練で知識と行動力を身につけるべきだが、参加率は低下傾向にある。
防災に関する昨年の国の世論調査によると、大地震に備えるため防災訓練に積極的に参加している人は8・3%にとどまった。平成29年調査と比べるとほぼ半減だ。食料や水の備蓄、家具の固定をしている人が4割前後なのに対して、極めて低い水準となっている。
風水害への備えも課題
台風や大雨などの風水害への備えでも、訓練に積極的に参加している人は8・6%にすぎない。激甚化する水害への意識を高める必要がある。
千葉県などの豪雨では、雨が下水道の排水能力を超えてあふれる内水氾濫が大きな被害をもたらした。都市部でどこでも起きる恐れがあり、氾濫時の訓練を強化しなくてはならない。
参加しない理由と改善点
防災訓練は日時や場所、申し込み方法が分からないので参加しないという人が多い。行政や地域で効果的な周知を検討してもらいたい。また、マンネリ化や形骸化も指摘され、より実践的な内容への改善が求められる。
職場や学校での避難訓練は多いが、線状降水帯による急な大雨などの際は集団での避難は難しい。レベル5の特別警報が出れば、各自が命を守る最善の方法を直ちに判断して行動しなければならない。
「一人訓練」のすすめ
仕事や家事で訓練に参加できない人も少なくない。都市部では一人暮らしの人も多い。これからは参加型の集団訓練だけではなく、家族単位や自分だけの「一人訓練」を積極的に行うべきではないか。
ハザードマップで氾濫や土砂災害のリスクを確認し、避難所まで実際に歩いてみることが重要だ。自分で考えて行動すれば自覚も高まる。家族のうち誰か一人でも実践しておけば、いざというとき役に立つだろう。避難場所や経路を地図で確かめる「図上訓練」も有益だ。
土砂災害や浸水に備えるため、斜面から離れた部屋や2階以上で安全に在宅避難する訓練も自分でできる。浸水を防ぐ土囊(どのう)の入手方法も確認しておきたい。
自分の命は自ら守る意識を高めることが、大切な人の命を守ることにもつながる。一人一人が訓練の経験を重ねたい。