クマの大量出没でマンパワー不足が深刻化した場合に備え、県は31日、県建設業協会と緊急支援に関する基本協定を結んだ。市町村の要請に応じ、協会が箱わなの運搬などを支援する。昨年のように自衛隊の支援に頼らず、県内だけでクマに対処する体制を整えることを狙う。
協定の内容と支援の流れ
県は昨年10月、クマの大量出没で市町村や猟友会などの負担が限界に達しているとして、防衛省に協力を要請。陸上自衛隊が約1か月間、12市町村で箱わなや駆除したクマの運搬、クマを埋設するための掘削などを行った。しかし、「本来は地元で対応できる体制を取る必要がある」(鈴木知事)として、災害時の応急復旧などで県と協定を結ぶ同協会に白羽の矢を立て、出没増加が懸念される秋を前に協定締結にこぎつけた。
協会の支援は、市町村から連絡を受けた県が要請して行われる。内容は自衛隊の支援と同様で、箱わなの運搬、設置、回収、駆除したクマの運搬、駆除したクマの埋設とそのための掘削など。猟友会などと連携して単独では作業しない。県は作業員の安全確保のためにヘルメットやプロテクターなど全身を守る防護用具とクマスプレーを貸与するほか、支援にかかる費用を負担する。協定の期間は来年3月末までで、申し出がなければ1年ごとに更新される。
支援開始の目安と今後の取り組み
支援に入る目安は、各市町村での1週間の捕獲数が昨年のピークの8割程度になった場合という。県は今後、協会に加盟する事業者を交えた意見交換会で、クマの生態や箱わなの取り扱いなどを共有する。
県庁で開かれた協定締結式では、鈴木知事と協会の北林一成会長が署名。鈴木知事は「最悪の事態に備えたバックアップだ。県民のためにお力添えを賜りたい」とあいさつ。北林会長は「昨年の自衛隊の役割を担うということで、責任の重さに身の引き締まる思い。要請を受けた場合に速やかに対応できるよう準備していく」と語った。
県の対策本部会議とクマの目撃状況
県はこの日、県や県教育委員会、県警本部の幹部らがクマ対策について話す「県ツキノワグマ被害防止対策本部会議」を開催した。秋の行楽シーズンを前に、多言語対応した観光客向けのチラシを作るなどして、注意喚起を徹底することを確認した。
8月のクマの目撃件数は27日時点で230件(速報値)と、昨年同月の766件から大幅に減少した。



