自動車部品大手アイシン(愛知県刈谷市)は16日、7月の熊本地震で被災し、8月中旬までに生産を再開した子会社アイシン九州(熊本市)の工場を報道陣に公開した。10年前の熊本地震では通常体制への復帰に130日を要したが、今回は19日だった。教訓を生かした処置が奏功したが、新たな課題も見つかり、対策を急いでいる。
設備固定などの対策が奏功
工場は自動車のドア関連部品の製造や半導体製造装置の組み立てなどを手がけ、トヨタ自動車や東京エレクトロン九州(熊本県合志市)などに供給している。熊本市南区にある工場は7月28日の地震で、10年前の地震(震度6弱)より強い震度6強を観測したが、復旧までの時間は短かった。
カギとなったのが、10年前を踏まえた対策だ。大型のクレーンや金型の収納棚が落下するなどした反省から、生産設備を5000か所以上固定し、落下防止の補強を行うなどの対策を講じてきた。アイシン九州の遠藤真社長は「従業員も前回の経験を生かし、冷静に対応してくれた」と振り返る。
新たな課題と減災への取り組み
一方で新たな課題も見つかった。工場内のカメラの映像には今回の地震で従業員らが立っていられず座り込む様子などが映っていた。グループ全体の工場に手すりやシェルターを設置することを検討し、アイシン九州ですでに試験導入している。炎天下での復旧作業に伴う熱中症防止策なども強化する方針だ。
対策本部長を務めたアイシンの西川昌宏取締役執行役員は「九州での知見をグループやサプライチェーン(供給網)に広げ、さらに減災を進めていく」と話した。