長崎原爆資料館で、これまで日の目を見なかった被爆関係資料にスポットライトを当てる企画展「閃(ひらめ)きのあと-長崎原爆資料館の軌跡」が開かれている。被爆から4年後の昭和24年に発足した長崎市原爆資料保存委員会が収集した資料など約120点を展示。被爆に関連する資料を後世に残そうと奔走した人々の活動に焦点を当てた点が特徴だ。
資料収集の歴史という切り口
展示を企画した同館の学芸員、後藤杏さん(28)は「保存会の発足当初に集められた資料は、背景情報が乏しい傾向にあり、これまでは展示しにくかった。少し視点を変えるだけで、読み取れる情報は格段に増える」と話す。原爆に関する資料収集の歴史という切り口からアプローチすることで、資料に新たな価値を見いだした。
同館の被爆にまつわる収蔵品は約2万点に上る。収蔵品の多くは、展示スペースが限られているといった理由で常設展示はされていない。後藤さんは、8月9日に何が起きたのかだけではなく、犠牲になった一人一人の顔が見えるよう、残された日記や被爆体験記などをもとにして、当時の情報を丁寧に拾い上げてきた。地道な作業を繰り返す中で、遺族が長年把握していなかった情報にもたどり着いた。
無名の戦死者の記憶をつないでいくには
同館は資料の有効活用を図るため、平成22年に一部の収蔵品を検索できるウェブサイト「長崎原爆資料館 収蔵品検索」を開設している。被爆者は差別や偏見にも苦しんできた。後藤さんは「語られていない体験もある。これからも資料を託してくださった被爆者やご遺族の思いを伝えていきたい」と語った。
一方で、手掛かりとなる証言や資料がほとんど残っていないケースも少なくない。後藤さんは、自身の大伯父が戦艦「金剛」に乗艦していたことを追う中で、そうした困難に直面してきたという。展示は、そうした無名の戦死者の記憶をつないでいく試みでもある。



