「男物派が女物の着物にハマった理由」と題した動画が12万回再生を超え、話題を集めている。投稿者のUruさん(@_uruboros)は、3年前から着物を着るようになったという。ハーフというアイデンティティゆえに「着付けが間違っていたら指摘されるのでは」という不安や、体型から普段はメンズを選ぶことが多かったため、「女物の着物は自分らしさが薄れてしまうのでは」という懸念があった。しかし次第に、着方ひとつで女性らしくも男性らしくも見せられる着物の魅力に惹かれていったそうだ。
既成概念にとらわれない和服の楽しみ方
動画で着用している着物について、Uruさんは「黒のしじら織に、博多織の半幅帯を合わせています。帯締めは自分で制作したものです。一見するとシンプルな、ほぼ黒のコーディネートですが、色を合わせているというより、布を合わせている感覚です。しじら織の凹凸や博多織の滑らかさなど、それぞれ違う質感や表情があるので、同じ黒でも、自分の中ではすべて違う黒として見えています」と説明する。
ジェンダーレスなスタイルで着物を楽しむ方法については、「『男性物』『女性物』と分けて考えすぎず、自分が好きだと思うものを選ぶことだと思います。例えば、女性物の着物に男性物の帯や羽織を合わせるだけでも印象は変わります。どちらか一方に寄せるのではなく、好きな色や柄、シルエットを少しずつ組み合わせていくと、自然と自分らしいスタイルになっていくと思います」と語る。
浴衣は「サンダルやスニーカーでもいい」
今の季節の浴衣の着こなし方については、「浴衣は、最初から決まった一式として着なくてもいいと思います。着物らしいシルエットを残す着方が好きですが、帯の代わりに太めのベルトを合わせたり、スカートと重ねたり、その人が着やすい形に変えるのも一つの楽しみ方だと思います。下駄で足が痛くなりそうなら、サンダルやスニーカーに替えてもいいですし、無理をせず、自分が一日楽しめる着方を選ぶことが一番です」と提案する。
動画に寄せられたコメントで特に嬉しかったものとして、「『そうやって実験的に着ているのを見ると、本当にかっこいいと思うし、自分も型にはまらなくていいんだと思わせてくれる。着物はアートで、アートは時代や着る人を反映して変化していくものだと思う』という内容の英語のコメントです」と挙げる。
ハーフであることで気にしていた“人の目”
着物を着始めた頃は、「『ハーフであることで、人一倍見られてしまうのではないか』という不安がありました。日本人ですが、外見だけで海外の方だと思われることが多いので、少しでも着付けが違って見えると、『日本人じゃないから、わかっていないのかな』と思われてしまうのではないかと、必要以上に人の目を気にしていました」と振り返る。実際にそういったコメントをいただいたこともあるという。
しかし、「着物を着て外に出るようになると、着物を通してたくさんの方と出会い、着付けや布について教えていただく機会も増えました。その経験を通して、『ハーフだから』と見るのではなく、一人の着物好きとして接してくださる方のほうがずっと多いことを知りました。今では、人の目を気にするよりも、自分が好きだから着るという気持ちを大切にしています」と話す。
体型にコンプレックスを感じていた時期も
服は「自分を表現するもの」と考えるUruさん。専門学校でファッションを学び、その後ファッション業界に進んだ。「もともとメンズウェア、特にスーツが好きだったこと」がきっかけで、「シルエットやテーラリングに強く惹かれていました」という。着物を着るときも「衿の線や帯の位置、全体のシルエットを見ることが多いので、洋服と着物は自分の中では意外とつながっています」と語る。
体型と着たい服のギャップに悩む人へ向けて、「私も身長や肩幅など、自分の体型にコンプレックスを感じていた時期がありました。だからこそ、まず基本を学んだ上で、自分の体型に合わせて着付けを調整しています。教科書通りの着方が、すべての人に同じように美しく見えるとは限りません。肩幅や首の長さ、胴のバランスを見ながら、衿元や衣紋の抜き方、帯の位置などを調整しています。ルールを知らずに崩すのではなく、なぜその形があるのかを理解したうえで、自分に合う形を選んでいます。着物に自分を合わせるのではなく、自分の身体の上で着物が一番きれいに見える形を探すことを大切にしています」とアドバイスする。
今後の目標について、「これからは、女性物と男性物の要素をもっと自然に組み合わせた、自分らしい着こなしを追求していきたいです。女性物ならではの形や帯周りの美しさは好きですが、伝統的な女性向けの色柄には、自分には少し甘すぎると感じるものもあります。男性物の直線的な要素と、女性物ならではの曲線的な美しさ。そのバランスをどこで取るか――それを探っていくことが、これからのテーマだと思っています」と締めくくった。



