東京都中央区八重洲のビル建設現場で鉄骨の梁が崩落し5人が死傷した事故で、警視庁は18日、当時現場監督だった作業主任ら2人を書類送検した。崩落した鉄骨梁を支える支保工の強度不足が事故につながったとみられるが、作業主任は工期を優先し、未経験であるにもかかわらず外部委託せずに支保工の強度計算を行ってミスをした。外部からの強度不足指摘にも副所長が確認を怠るなど複数の要因が重なっていた。
経験ないのに計算
警視庁捜査1課によると、支保工は当初、2基設置される予定だったが、鉄骨の納期の遅れや資機材の置き場が確保できないなどの理由で計画が変更された。支保工は1基となり、作業主任が自ら強度計算を担当することになった。
支保工のリース会社から受け取ったフォーマットを使い、作業主任は計算を実施。本来、崩落した梁計5本分の重量や資機材など支保工にかかる重量すべてを計算式に入れる必要があったが、入力したのは梁2本分にとどまり、正しい総重量の半分以下だったという。
作業主任はこれまで強度計算をした経験がなかった。外注しなかった理由については「工期が遅れるなら自分で計算した方が早い」と警視庁に説明した。
「強度が持たない」指摘も…
誤った計算を基に支保工は発注されたが、事故防止につながる可能性がある指摘は、外部から寄せられた。リース会社は作業主任の強度計算を基にした支保工では梁の荷重に耐えられないと判断。「強度が持たない」と作業主任側に伝えた。
それを受け、作業主任は現場の責任者である上司の副所長に相談をしたが、十分な算出根拠を示さず口頭での説明とした。相談を受けた副所長も計算について助言したものの、計算式全体は確認しなかった。落下した梁5本すべての重みを支保工だけで支えるわけではないが、強度は足りていなかった。
施工管理に詳しいものつくり大学の三原斉教授(建築生産)は、建設業界では安全や品質の確保に見合ったコストと時間が必要だが、立場関係などで短い工期や低価格での受注を余儀なくされるケースがあると指摘。「業界全体が適正な価格や工期での発注、受注を順守することを徹底する必要がある」と話した。



