人気ドラマ「VIVANT(ヴィヴァン)」の続編で、日本と関わりの深いタイが物語の舞台となった。この作品は国際的な諜報活動を主題とするフィクションだが、タイ編では現地で実際に起きている深刻な社会問題に触れる場面があった。「微笑みの国」が抱える社会の闇とは。
タイ編で描かれた警察官の買収
TBS系日曜劇場のVIVANTは、自衛隊の秘密部隊として注目された「別班」がテーマ。堺雅人さん扮する主人公の別班員・乃木憂助が、海外テロ組織の破壊活動などを阻止しようと奮闘するストーリーだ。
2023年に放送されたシーズン1に続き、7月から放送中のシーズン2でも海外ロケを実施。タイもその舞台のひとつとなった。タイは25年の日本人来訪客が約109万人にのぼり、現地に工場を置く日系メーカーなどの日本人駐在員ら邦人約7万人が暮らす国だ。
「タイでは十分にあり得る話」と専門家
タイ編では、現地に潜伏する日本人のターゲットを別班が追い、確保を試みる場面がある。その際、ターゲットの男が地元の有力者を通じてタイの警察官を抱き込むことで、追跡から逃れようと努める様子が描かれた。
フィクション作品では、よく見られる描写といえる。ただ、タイ社会に詳しい法政大学の浅見靖仁教授は、作中で描かれた金銭による警察官の買収や癒着関係の構築について、「タイでは十分にあり得る話だと感じた。警察官による汚職の実態がリアルに描かれた部分があった」と語る。
後を絶たない警察官の汚職事件
実際、タイでは警察官の汚職に絡む事件が後を絶たない。タイ警察は今年1月、入管で拘留中だった中国人から賄賂を受け取り、逃亡を手助けしたとして、警察官1人を解雇し、ほか4人を処分したと発表。現地報道によると、5人は警察署長など高い地位にあり、同様の不正に多数関わった疑いがある。ほかにも、特殊詐欺拠点の運営に関わった疑いなどで、警察官が捜査対象になる事例が相次ぐ。
浅見教授によると、タイで現代的な警察組織が確立された直後の1950年代から、汚職が「半ばシステム化」された。公務員給与の低さも、賄賂の要求などが続く一因とされる。
記事後半では、法や規制の「抜け穴」だけにとどまらない、深刻な汚職の弊害について解説する。



