厚生労働省によると、改葬(墓じまいや墓の引っ越し)数は2014年度には約8万4000件だったが、2024年度には17万件を超えた。少子高齢化の進む日本で、墓じまいする人が急増している。由緒ある徳川慶喜家も例外ではなく、現在、5代目当主の山岸美喜さん(58歳)がさまざまな苦難を乗り越え、墓じまいに奮闘している。
「涙が出た…」親族ほぼ全員が反対
山岸さんは徳川慶喜の玄孫(やしゃご)にあたる。墓じまいを決意した経緯について、山岸さんは「墓というのは、先祖が眠る場所です。だから墓じまいは、親族をはじめとする関係者それぞれの思い入れや気持ちを受けとめることから始めなくてはいけない……ということが、今回とてもよくわかりました」と語る。
5代目当主に指名された当初、親族ほぼ全員が反対したという。名門ゆえの重責と孤独な闘いの中で、「涙が出た」と振り返る。それでも、叔父から託された2つの「使命」を胸に、墓じまいを進めている。
4代目当主「アンクル」の看病と託された使命
山岸さんは、前当主である4代目(アンクル)の看病を長年務めた。そのアンクルから「墓じまい」と「徳川慶喜家の歴史を後世に伝える」という2つの使命を託されたという。アンクルの死後、山岸さんはその遺志を継ぎ、墓じまいを決断した。
上野東照宮とのご縁と「宗旨が違う」と断られ…
墓じまいの過程で、山岸さんは上野東照宮とのご縁を得た。しかし、当初は「宗旨が違う」と断られるなど、困難が続いた。それでも粘り強く交渉を続け、理解を得ることに成功した。山岸さんは「ご先祖様に似ていると言われることもあり、不思議な縁を感じます」と語る。
300坪の墓じまい、その苦難と今後
300坪に及ぶ徳川慶喜家の墓じまいは、物理的にも精神的にも大きな負担を伴う。山岸さんは「親族の反対を乗り越え、一人で進めるのは本当に孤独でした。でも、アンクルの使命を果たすため、そして徳川慶喜家の歴史を絶やさないために、やり遂げなければならない」と決意を新たにしている。
墓じまいが完了した後は、徳川慶喜家の歴史を伝える資料の保存や公開にも力を入れる考えだ。山岸さんは「墓じまいは終わりではなく、新たな始まりです。先祖の思いを未来につなげていきたい」と語った。



