フランス南部の美術館から9月に盗まれ、今月に入ってから回収された印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワールの絵画2点について、検察当局は12日、いずれも軽微な損傷が確認されたことを明らかにした。
盗難と発見の経緯
事件は仏南部カーニュ・シュル・メールのルノワール美術館で先月8日に発生した。窃盗犯らは、ルノワールの作品2点を持ち去ったが、逃走時に別の2点を現場に残していた。4作品の評価額は計900万ユーロ(約16億円)と推定されていた。
当局は今月9日、盗まれたまま行方が分からなくなっていた2作品が発見されたと発表した。見つかったのは、肖像画「コロンナ・ロマーノ夫人の肖像」と、井戸のそばにいる女性を描いた「井戸端の若い女」の2点。
壁の裏に隠されていた
マルセイユのニコラ・ベソン検事はパリで記者団に対し、絵画は8日に南部クレルモンレローの住宅を捜索した際に発見されたと述べ、また盗難作品の発見に先立ち、女性1人を含む6人が7日に逮捕されたことにも触れた。
ベソン検事は「絵画はコンクリートブロックを積み上げた頑丈な壁の裏に隠されていた。外からは全く分からない状態だった」とした上で、「取り調べで、盗品を受け取った人物に、実際に絵画を入手していたことを認めさせた」と説明した。
作品の状態と修復の見通し
主犯格とみられる男(29)は、DNA鑑定で窃盗事件との関連が判明し、週末に訴追された。
ベソン検事は、国家司法警察局のクリスチャン・サント局長と共に会見し、2作品は「比較的良好な状態」にあったものの、「いずれにも損傷が見られた」と述べた。「井戸端の若い女」は額縁に軽微な損傷があり、「コロンナ・ロマーノ夫人の肖像」はキャンバスに裂け目があったという。
ベソン検事によると、裂け目は肖像画に描かれた「ドレスの部分」にあり、両作品とも「修復作業が必要になる」という。
フランスでは、ルーブル美術館を含む文化施設を狙った窃盗事件が相次いでおり、一部施設の警備体制の不備が浮き彫りになっている。また、犯罪組織が美術館を侵入しやすい標的とみなしている可能性についても指摘されている。