下関港を母港とする捕鯨母船「関鯨丸」(9299トン)の船団が北海道沖で捕獲した大型のナガスクジラの生肉が16日、下関市では今季初めて競りにかけられた。最高値は尾びれの付け根付近の希少部位「尾の身」で1キロあたり35万円をつけ、過去最高だった24年12月と25年11月の20万円を上回った。
「鯨の王様」の生肉、過去最高値を更新
肉質の良さなどから「鯨の王様」と呼ばれるナガスの生肉が同市で上場されるのは、関鯨丸が完成・初出漁した2024年から通算で4回目。今回の競りでは、新鮮さが売りの生肉が並んだ市場で午前2時25分頃に競りがスタートし、次々と買い手が決まった。
最高値をつけた仲卸・水産加工会社「魚重」(下関市)の長谷川豊社長(42)は「サシの入り方、肉質、発色とも抜群だ。下関の市場を景気づけたいとの思いも込めた」と話した。最高値で競り落とした尾の身は広島県・宮島の高級旅館で提供されるという。
関鯨丸の今季の航海と捕獲状況
関鯨丸は捕鯨会社「共同船舶」(東京)が所有する世界唯一の捕鯨母船。北海道や東北の沖などの排他的経済水域(EEZ)内で、19年に再開された商業捕鯨を行い、捕鯨船が捕獲した鯨を船内に引き上げて解体・冷凍保存し、港に陸揚げする。
3季目の今年は下関港と仙台港(宮城県)を拠点に、1か月半~2か月程度の航海を4回実施する計画を立て、4月18日に下関港を出港した。今回は3回目の航海を終えて今月13日に仙台港に寄港し、主力の冷凍鯨肉約536トンを陸揚げ。同時に、8~10日に北海道・根室沖で捕ったナガス3頭(体長17・6~18・98メートル、体重35・4~49・1トン)から厳選し、冷蔵した生肉約3トンも陸揚げした。このうち約1トン(尾の身約0・3トン、赤肉約0・7トン)を空輸と陸送で14日朝に下関市に運び込み、下関漁港地方卸売市場に上場した。
販売先と今後の計画
下関市によると、この日のナガスの生肉は市内の唐戸市場、ゆめシティ、ゆめマート下関、ゆめタウン長府、大丸下関店で販売されるほか、二十数か所の旅館やホテル、飲食店で料理に使われる。
生肉の上場は、24年7月に捕獲対象に加わったナガスのおいしさをPRするのが狙い。共同船舶によると、今季は十分に太り、脂ののった個体を確保できているという。所英樹社長(72)は「競りで高く評価され、ありがたい。生肉はまずは刺し身で食べてほしい」と語った。
今季の関鯨丸はこれまでに、ニタリクジラについては捕獲枠(夏~秋に18頭増加)いっぱいの151頭を捕りきり、ナガスは38頭、イワシクジラは25頭を捕獲し、計約1600トンの鯨肉を生産している。最終の4回目の航海に向けては今月17日に仙台港を出港。枠の残りのナガス20頭、イワシクジラ31頭も捕りきって、目標とする生産量2000トン超えを達成したい考えだ。漁は12月上旬に終え、下関港に帰港する。