教え子の死が問いかける「今を生きる意味」上智大教授が語る27年
教え子の死が問いかける「今を生きる意味」上智大教授が語る27年

上智大学外国語学部英語学科でシェークスピアを研究する東郷公徳さん(62)は、授業中に寝ている学生がいても頭ごなしに怒らない。「部活動で輝いているかもしれない」と、教室では見えない学生の姿を想像するようになった。

学生一人ひとりに、自分には見えていない人生があり、その人生が当たり前に続くとも限らない――。そう思うようになった背景には、27年前に殺害された教え子の存在がある。

1993年の出会い

その女子学生と知り合ったのは1993年。母校の上智大の講師になったばかりのころだった。新入生の自己紹介で「葛飾・柴又出身の下町っ子、小林順子です」と話す姿を、今でも鮮明に覚えている。

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順子さんは、原語で英文学を読み解く東郷さんの授業を受けていた。リポート課題では、課題作品に指定していなかったジョージ・オーウェルの社会派作品「動物農場」をあえて選んだ。オーウェルは作家であり、ジャーナリストでもあった。順子さん自身もジャーナリストを夢見ていたことを、後から知った。

面倒見のいい学生

授業を受講し終えた後も、新入生を歓迎するオリエンテーションの担当学生と担当教員として、やり取りが続いた。順子さんは面倒見のいいタイプで、人前に立つことをいとわない。周囲に気を配り、会計係といった裏方の仕事も丁寧にこなしていた。

知り合ってから3年半後、順子さんは上智大4年生の時に殺害された。事件をのみ込めないまま、東郷さんは学生と向き合うたびに順子さんの姿を思い浮かべる。

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