警視庁青梅署古里駐在所の奥西俊郎警部補(51)は、全ての業務で「共助」の精神を最も大切にしている。「後輩に多くは教えられないけど、この精神は常に伝えている」と語る。
災害救助の現場から
大学2年の時、阪神大震災での救助活動の様子をテレビで見て、警視庁機動救助隊の存在を知った。自信のある体力で「人助けをしたい」と警察官を志した。
警備部門に長く身を置き、国内外の大規模災害で救助活動に奔走。平成23年3月11日の東日本大震災では、津波で大きな被害を受けた仙台市荒浜地区へ急行。「記憶がないくらい夢中」で、下半身まで海水が残る中、救助活動にあたった。
住民との絆
発災4カ月後、宮城県石巻市で活動中にわが子と同世代の子供2人が行方不明の女性に出会い、「自分が同じ立場だったら」と胸が張り裂けそうだった。仲間に声をかけ、帰任する直前まで懸命に捜索を続けた。
すべての命を救えるわけでなく、挫折も経験したが、「最後まで諦めず家族のもとへ返すために全力を尽くす」と使命を語る。現場では「いくら知識や技術があっても1人では何もできない」と隊員と連携する重要性を説く。
駐在員としての日常
駐在を希望するようになったのは、勤続10年を超えた災害対策課在籍時。山岳担当の事務で青梅署奥多摩交番へ通ううち、温かく迎え入れてくれた住民や駐在員の雰囲気にひかれ、「ここの駐在で勤務したい」と思うようになった。
現在は駐在員だけでなく、山岳救助隊を兼ねており、遭難事案が発生したときには、山岳救助隊の赤い服に袖を通す。管轄地域の約1000人の顔と名前はすべて覚えた。「お巡りさんが来ても『なんかあったの?』と聞かれないように」とバイクや徒歩で巡回し、詐欺被害防止では、チラシを示しながら対面で説明する。
共助の精神は駐在所勤務でも生きており、親密な交流を通じて、地元の山をよく知る住民と危険な場所を教えあっている。朝、駐在所近くの古里小学校前で交通整理をしていると、通りかかる車の運転手が笑顔で手を振ってくれる。「駐在員をやっていてよかった」と思える瞬間を語る表情は、誇らしさと優しさに満ちていた。
第96回「都民の警察官」表彰式は20日に行われる。



