未成年者による選挙運動を一律に禁じる公職選挙法の規定を憲法違反と判断した9月の東京地裁判決について、原告側が10月7日、東京高裁に控訴した。問題とした規定の一部は「合憲」と判断されたことや、国への損害賠償請求が退けられた点を不服として、裁判を続けることにしたという。
弁護団「使用禁止規定が残れば保障難しい」
原告弁護団の戸田善恭弁護士は会見で「判決が未成年者の選挙運動の自由を認めた点は画期的だった」としつつ、未成年者の使用を禁じる規定が合憲と判断された点を問題視した。
未成年者が自発的に選挙運動への参加を望んでも、受け入れる側が使用禁止規定を理由に断る恐れがあると指摘。「使用禁止規定が残れば選挙運動の自由を十分に保障することは難しい。国会でも議論してほしい」と話した。
原告の高校生が実名公表
原告の一人で高校3年生の福島宏太さん(17)は、これまで取材に匿名で応じてきたが、初めて実名を公表した。会見で「使用禁止規定についても違憲判決を勝ち取り、法改正につなげたい」と力をこめた。
公選法は18歳未満の選挙運動を禁じており、違反した人に1年以下の拘禁刑か30万円以下の罰金刑を科すとしている。公民権も最大5年間停止される。罰則は、未成年者を選挙に使用した側だけでなく、未成年者本人も対象になっている。
地裁判決の内容
地裁判決は、未成年者の自発的な選挙運動まで一律に禁止することは「表現の自由」を保障する憲法21条に反すると判断。この規定が違憲である以上、未成年者に罰則を科す規定も違憲だとした。一方、未成年者を保護するため、選挙運動に未成年者を使用することを禁止し、使った側に罰則を科す規定は合憲とした。
その上で判決は、禁止規定の制定時点で違憲性が明白だったとはいえないと指摘。制定後も国会や裁判で問題視されてこなかったとし、国会が規定を廃止しなかった不作為について違法とは評価できないと述べた。結論として、国への損害賠償請求などをすべて退けた。