お笑いコンビ・ナインティナインの岡村隆史が、ニッポン放送『ナインティナインのオールナイトニッポン』で、ネットバンキングを利用した際に「結構な額」を誤った口座へ振り込んでしまったことを明かした。返金に向けた「組戻し」の手続きをしたというが、もし相手が返金に応じなかったらどうなるのか。また、逆に自分の口座へ身に覚えのない入金があった場合は、どうすればいいのか。アディーレ法律事務所の大垣優希弁護士に聞いた。
岡村隆史「額がむちゃくちゃデカい」誤振込が発覚
岡村は8月20日深夜放送の同番組で、5月ごろにネットバンキングを利用して「結構な額」を振り込んだものの、最近になって本来の振込先から「振り込まれてません」と連絡があったことを告白。履歴を確認すると、本来とは異なる口座へ送金していたことが判明した。
誤振込に気づいた岡村は銀行に連絡し、誤って振り込んだ資金を戻す「組戻し」の手続きを開始。振込先は個人ではなく、「誰もが知ってる会社」「結構大きな会社」だという。番組では「1万、2万とかの話じゃない」「額がむちゃくちゃデカい」と金額の大きさを強調。もし返ってこなかった場合には、「俺一人でデモとかやるかも分からんけど」「その会社の前でプラカード持って、組戻せー!って」と冗談交じりに語りながらも、「組戻してもらわなあかん」「信じるしかないです」と不安な胸中を吐露していた。
組戻しの手続きと注意点
では、岡村が取った対応は適切だったのだろうか。大垣弁護士は、「誤って別の口座に振り込んでしまった場合は、振込を依頼した金融機関に連絡し、組戻しの手続きを依頼することが基本的な対応になります。そのため、岡村さんが銀行に連絡して組戻しの手続きを行ったことは適切な対応といえます」と説明する。
もっとも、「組戻しには一定の手数料がかかり、手続きが完了するまで1カ月ほどかかる場合もあります」とのこと。また、「振込先の口座番号や受取人名義を事前によく確認していれば防げるケースも少なくありません。振込前に内容を再確認することが重要です」と呼びかけた。
誤振込に気づいたら「できるだけ早く」金融機関へ
誤って別の口座へ振り込んでしまった場合、重要になるのが対応の早さだという。大垣弁護士は、「誤振込に気付いたら、できるだけ早く振込を依頼した金融機関へ連絡しましょう」と呼びかけ、その理由について、「誤振込みは、送金先の銀行が受取人の口座への振込金を入金処理する前であれば、受取人の同意なく組戻しが可能ですが、入金処理後は受取人の同意がないと組戻しができません」と解説する。
では、すでに入金処理が完了し、受取人が返金に同意しなかった場合はどうなるのか。「組戻しの手続きを行っても、受取人が返金に同意しない場合には、銀行だけで返金を実現することはできません」としたうえで、「その場合、受取人に対して不当利得返還請求などの法的手続きを行うことになります。誤って受け取ったお金は法律上返還すべきものとされるため、受取人には原則として返還義務があります」と説明した。
ただし、返還義務があるからといって、すぐにお金を取り戻せるとは限らない。大垣弁護士によると、「相手方との交渉が必要になったり、場合によっては訴訟手続きが必要になったりするため、返金までに時間や費用がかかる可能性があります。また、相手方の資力状況によっては、回収が難しくなることもあります」という。
身に覚えのない入金、勝手に使ったら「窃盗罪」の可能性も
一方、岡村のケースとは逆に、自分の銀行口座に身に覚えのないお金が突然振り込まれていた場合はどうすればいいのだろうか。大垣弁護士は、「自分の口座に身に覚えのない入金があった場合でも、そのお金を自由に使ってよいわけではありません」と注意を促す。
誤振込であることを知りながら銀行窓口でそのことを告げずに預金の払戻しを受けた場合には「詐欺罪」、ATMから引き出した場合には「窃盗罪」、ネットバンキングを利用して別口座に送金した場合には「電子計算機使用詐欺罪」が成立する可能性があるという。
さらに、身に覚えのない入金が単なる誤振込ではないケースにも注意が必要だ。大垣弁護士は、「『押し貸し』と呼ばれる闇金の手口である可能性もあります。これは勝手にお金を振り込み、後から不当な返済を求めるものです。さらに、マネーロンダリングなどの犯罪に口座が利用されている可能性もあります」と指摘。そのため、「身に覚えのない入金があった場合は、そのお金には手を付けず、速やかに金融機関へ連絡して事情を確認しましょう。不審な点がある場合には、警察に相談することも重要です」と呼びかけた。
■法律解説者プロフィール
大垣優希弁護士(第一東京弁護士会所属)
アディーレ法律事務所
夫婦問題や遺産相続、債務整理など、多様な一般民事分野に関心を持つ。法律分野に留まらず、日本化粧品検定1級の資格も保有するなど、専門性のさらなる深化にも意欲的で、身近な悩みに根拠をもって寄り添う解説を志す。



