国立ハンセン病療養所の入所者が減る中、施設や土地の活用法の検討が課題となっている。誤った隔離政策の歴史や教訓を次代に継承しつつ、地域貢献にどう生かすか。国は療養所ごとに事情が異なるとして地元での議論を促しているが、自治体側は費用負担などに頭を悩ませる。識者は「国の責任で議論を進めていくべきだ」と指摘する。
入所者「ゼロ」の時の規定なく
最大1300人超が暮らした星塚敬愛園(鹿児島県鹿屋市)には現在、45人が暮らす。平均年齢は90歳を超え、全員が医療に加えて介助を必要としている。
東京ドーム約8個分の約37万平方メートルの敷地には、居住棟や病棟、宗教施設や納骨堂など、隔離された療養所で生きてきた入所者の暮らしが刻まれている。「入所者の生活を守りつつ、市民に役立つ方法で活用する道を探っていきたい」。同園自治会長の山口文夫さん(77)は7日、入所者減少で利用されなくなった居住棟前で力を込めた。
ハンセン病問題解決促進法(2009年施行)は、希望する入所者の終生の在園を約束している一方、入所者が「ゼロ」となった時の具体的な規定はない。
山口さんは、今から空き部屋を活用して要介護者らの短期入所を受け入れるなど、地域に役立つ方法での早期の活用を思い描き、「我々を受け入れてくれた地域と共生し、ゆくゆくは返していきたい」と語る。
協議の進捗に大きな差
強制隔離の根拠となった「らい予防法」が廃止された1996年には全国13の国立療養所で約5500人が暮らしていたが、現在は約550人(今年5月1日時点)に減り、平均年齢は89歳を超えている。



