東西の歌舞伎俳優が年始の大阪に顔をそろえる「寿 初春歌舞伎特別公演」(大阪府、大阪市など主催)が2027年1月9~24日、新歌舞伎座(大阪市天王寺区)で行われる。今年5月に道頓堀の大阪松竹座が閉館して以来となる大阪での長期公演を前に、出演する中村鴈治郎は9月28日にあった会見で「1月に大阪で歌舞伎が打てることを大変うれしく思っております」と語った。
大阪の劇場不足への危機感
特別公演は、大阪の魅力を国内外へ発信する「大阪国際文化芸術プロジェクト」の一環で、今回が4度目。これまでは大阪松竹座が会場だったが、閉館に伴い、新歌舞伎座に会場を移す。
会見で鴈治郎は、「大阪はあまりにも劇場がなさすぎる。歌舞伎に限らず、東京でどんなに良い芝居があっても、大阪へ持ってくる場所がない」と危機感をあらわにした。「その中でも、花道が付いた歌舞伎を打てる劇場(新歌舞伎座)があるということは、これからまだまだ可能性があるということだと思っております」と述べ、大阪で歌舞伎のともしびを守っていく決意を示した。
知事の連携強化の意向
吉村洋文・大阪府知事は、江戸時代から続く芝居町・道頓堀の歴史は「大阪にとってかけがえのないもの」だとして、「道頓堀の文化、上方発信の拠点は絶やすことなく進めていきたい」と述べ、劇場運営を担う松竹との連携を深めていく意向を示した。松竹は道頓堀で「新たな文化芸能の発信拠点」の実現を目指すとしている。
上演作品と出演者
特別公演では、上方和事の名作「廓文章(くるわぶんしょう) 吉田屋」や、歌舞伎の三大名作の一つである「義経千本桜」、映画「国宝」で注目を集めた「鷺娘(さぎむすめ)」などが上演される。
「廓文章 吉田屋」で、勘当された若旦那の藤屋伊左衛門を演じる鴈治郎は「これはまさしくうちの成駒家の芸。難しさをうまく昇華して、良い伊左衛門をやれたら」。「義経千本桜 渡海屋・大物浦」で、源義経を討とうとする平知盛を演じる片岡愛之助は「初役なので、おじ(片岡仁左衛門)に習ってしっかり勤めたい」と意気込みを語った。
「鷺娘」で物語の女と鷺娘の2役を早変わりで勤める中村壱太郎は、「最高の鷺娘をお届けしたい」と力を込めた。
特別公演には他に、片岡孝太郎、市川中車、中村種之助、中村歌之助らが出演する。昼の部は午前11時開演、夜の部は午後4時半開演。観劇料は5千円~1万8千円。11月30日午前10時からチケットホン松竹(0570・000・489)などで受け付け開始。