成田空港C滑走路用地取得で事業認定申請へ、地元首長は苦渋の決断
成田空港C滑走路用地取得で事業認定申請へ

成田空港で3本目となるC滑走路の用地取得を確実にするため、成田国際空港会社(NAA)が10日、土地収用法に基づく事業認定を国土交通相に申請する方針を表明した。空港を核とした地域の発展を望む自治体首長は「やむを得ない」「苦渋の決断」と繰り返しながらも合意の意思を示し、NAAに対しては今後も任意の用地取得を粘り強く継続するよう求めた。

地元首長の苦渋の決断

C滑走路予定地の6割以上を占める芝山町の麻生孝之町長は、4月10日の滑走路新増設推進協議会で土地収用申請に慎重姿勢を示していたが、3カ月後のこの日の4者協議会で「NAAのこの数カ月の取り組みを評価しないといけない。熟慮を重ねた結果、(事業認定申請を)受け入れることにした」と述べた。麻生町長は自らNAA職員らと地元を歩き、地権者への説得に努めた。「町民代表である以上、(売却に応じない)地権者の意見も受け止めなければいけない」とする一方、「町の経営者である以上は、空港とともに町の発展を進める必要がある。土地収用制度の活用は苦渋の決断だった」と心境を吐露した。

同じく慎重な姿勢を見せていた多古町の平山富子町長も「空港、周辺市町の発展のみならず、県、国の国際競争力強化という点において機能強化は大変重要。大変重い決断、苦渋の選択だが、土地収用制度の活用はやむを得ない」と述べた。

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知事の注文と歴史的教訓

熊谷知事は、25年以上にわたって住民と国が対立した「成田闘争」の不幸な歴史に言及し、「地域に対して十分な説明をすることなく、計画を決定して整備を進めたことで大規模な反対運動につながった。その歴史を今一度省みていただきたい」と国やNAAに注文。「この度の決断は非常に重いものであることを改めて認識していただきたい」と語った。

NAAの藤井直樹社長は首長の声に真剣な表情で耳を傾け、「機能強化が我が国の国際競争力強化に不可欠であることを理解し、ご決断いただいた。今後も地権者と丁寧な話し合いを継続し、任意取得を進める」と応じた。

事業認定のプロセスと収用委員会の課題

NAAは今後、土地収用の範囲などを記した事業認定申請書の作成と利害関係者への事前説明会を実施したうえで、国交相に申請を行う。事業認定後、県収用委員会が最終的な土地収用の裁決を行う。しかし、県の収用委員会は1988年に起きた空港建設反対派による委員会会長への襲撃事件などを機に、2004年までの16年間、機能停止に陥った経緯がある。収用委を再開する前提として、「成田空港問題は取り扱わない」とされた。

熊谷知事は県収用委の今後の対応について記者団に問われ、「独立した行政委員会である収用委員会が判断すること」と述べた。一方で、「現在の事業は丁寧な説明の下で行われてきたもので、過去の事業とは全く別もの。(収用委で取り扱わないという)当時の方針と、今回の(土地収用申請の)決断に齟齬はない」との認識を示した。

用地取得の進捗状況と滑走路延伸合意

NAAは4者協で、機能強化に伴う拡張用地(1099ヘクタール)の確保率は6月末現在で90.4%(3月末時点では89.7%)になったと報告。未確保地は105ヘクタールで、このうち52ヘクタール(全体の約4.8%)は確保にめどがついているが、残る53ヘクタール(全体の約4.8%)は契約のめどが立たない状況だとした。4者協では、1000メートル延伸されるB滑走路(2500メートル)を2029年度内に供用開始することについても合意された。

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