奈良市は8月31日、市立奈良病院で4月に発生した電子カルテの大規模システム障害をめぐり、原因究明や再発防止策の検討を目的とする「市医療情報セキュリティ専門家会議」の検証結果を公表した。障害の原因をネットワークの監視装置によるシステム障害とし、外部からのサイバー攻撃ではなかったと結論づけた。
監視装置の異常が障害に拡大
市は同日、大学教授や弁護士ら3人で構成する専門家会議を非公開で開催。終了後に座長の猪俣敦夫・大阪大教授や仲川げん市長らが記者会見を開き、報告書の概要を説明した。
報告書によると、ネットワークの監視装置は障害が起きる前、何らかの原因で監視対象のうち3分の1ほどしか監視できない状態だった可能性がある。4月21日夜に装置のソフトウェアが自動更新され、監視対象数が通常に戻ったことを「異常な通信」と判断し、通信を自動で遮断したことが複数のシステムに拡大した。患者情報の漏えいやウイルス感染などの痕跡は確認されなかったという。
診療停止と影響
サイバー攻撃の可能性も考慮し、病院は被害拡大を防ぐため電子カルテなどに関係するサーバーをネットワークから切り離し、4月24日朝まで外来診療や救急の受け入れを停止した。予定していた手術56件のうち18件が延期され、外来予約は約1500件中、約500件で予約の取り直しなどが必要になった。
専門家会議は「サイバー攻撃の可能性を否定できない中、安全確保を優先した判断には合理性があった」と分析。通常診療の復旧が早かったことについて、猪俣教授は「日頃の準備が功を奏した」と評価した。
今後の対応
同病院の西尾博至管理者は記者会見で「市民の皆様にご不便とご心配をおかけした」と陳謝し、「病院の安全対策強化に取り組む」と述べた。市は今後、病院側にシステムの安全向上に向けた実施計画の提出を求め、定期的に進展・完了状況を確認する。



