山口県防府市の女性(65)が、2006年8月に当時20歳だった長女を殺害された経験を胸に、悲しみを抱える人を勇気づけたいと絵本の制作を進めている。女性は「生きることの幸せを多くの人に伝えたい」と語る。
事件から20年、娘への思いを胸に
絵本づくりに取り組むのは、同県防府市の中谷加代子さん。今月18日、長女・歩(あゆみ)さんのことを思い出し、「最後に見た歩の後ろ姿が、今でも忘れられない」と胸の内を明かした。自宅居間の仏壇には、20歳の誕生日に贈られた花を手にする歩さんの写真や、友人からのメッセージが書かれたポストカードなどが並ぶ。
事件の経緯と無念の思い
20年前の8月28日の朝、歩さんを最寄り駅の近くまで車で送り届け、「いってらっしゃい」と声をかけた。夕方、同じ防府市役所に勤める夫からのメモが職場の机に置かれているのに気づいた。夫に電話すると、「歩が死んだ」と告げられた。
深夜、警察署で対面した娘の冷たくなった頬に触れ、「歩ちゃん早く起きて」と何度も叫んだ。指名手配された男子学生は、その後、自殺しているのが見つかった。「なぜ事件を起こしたのか」。理由を問うことすらかなわなかった。
絵本に込めた願い
中谷さんは、「なぜ娘の命は奪われたのか」という葛藤の末、「自身の幸せを大切にし、相手を思いやる心があれば、事件は起きなかったのかもしれない」という思いに至った。だからこそ、絵本を通して「生きることの幸せを多くの人に伝えたい」と願っている。



