広島、長崎への原爆投下から81年。九州産業大(福岡市)が被爆者との対話を重ね、惨状を絵画で残してきたプロジェクトが来年度から刷新されることになった。被爆者の高齢化で対応が難しくなったためで、作品の展示などに注力する。今年度に最後の制作を担った学生や教員は「原爆の怖さを未来に伝え続けるツールになってほしい」と願っている。
プロジェクトの経緯と成果
プロジェクトは2022年、福岡市原爆被害者の会からの依頼で始まった。構図や題材にする場面、色調などを被爆者と九産大芸術学部の学生らが話し合いながら制作し、4年間で描いた作品は13枚。作品は被爆者らの証言活動などに活用されてきた。
今年度の制作と被爆者の思い
今年度は、芸術学部3年生の7人が約4か月かけて3枚の作品に仕上げ、7月26日に被爆者へ渡された。爆風で押しつぶされた家々に、大やけどを負ってさまよう人々。焦土と化した町並み――。長崎原爆で爆心地から約3キロで被爆した山口エリ子さん(88)は、あの日、自宅の近くで目にした光景を描いた作品に「当時を思い出した」と涙をぬぐった。
学生の思いと今後の課題
担当した久保田航大さん(20)は「当時の様子を直接聞き、平和を発信する必要性を強く感じた。作品を通じて、原爆の怖さが鑑賞する人の心に残ってほしい」と話した。一方、被爆者の高齢化が進み、被爆者健康手帳を所有する人の平均年齢は90歳に迫っている。



