熊本地震の被災地では、余震の心配や生活の不安から、被災者の心のケアに対するニーズが増している。2016年の熊本地震の記憶がよみがえる住民もいる。精神医療の専門家は「今後は張り詰めた気持ちが途切れ、落ち込む人が出てくる時期となる」と指摘する。
余震のたびに10年前を思い出す
熊本県氷川町の会社員(65)は、揺れが来ると恐怖に包まれる。今回の地震で家が傾き、母親、弟と車中避難をした。「いつ大きな地震が起きるか分からない中、心身ともに疲弊している」と打ち明ける。
度重なる災害体験は恐怖症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の原因となり、体と同様に手当てが必要になることがある。
DPATが21隊活動
県内では11日現在、精神科医や看護師らでつくる災害派遣精神医療チーム(DPAT)が21隊活動し、心のケアにあたる。眠れない人、精神疾患を抱える人、中には親しい人を亡くし、「自分も死にたい」と打ち明ける人もいる。氷川町で避難所などを巡回した栃木県立岡本台病院の竹内祥貴医師は「精神的な不調を訴える人が日を追うごとに増えている」と語る。
心の変化の時期と対応
被災直後から数日間は「ぼうぜん自失期」と呼ばれる恐怖と強い緊張の中にいる。その後の数週間は「ハネムーン期」と呼ばれ、「苦難を乗り越えよう」と気持ちが高ぶる。ただ、頑張りすぎによる過労が懸念される。続く「幻滅期」では復興への長い道のりに直面するなどし、喪失感を覚えて心の問題が表面化する。
災害時の心のケアに詳しい高橋晶・筑波大病院教授は「心のつらさは本人が言い出しにくいことが多い。周囲の人がお互いに気を配り、心配であれば専門家につなげてほしい」と話す。



