熊本地震2次避難、利用4割弱 車中泊続ける被災者「離れられない」
熊本地震2次避難、利用4割弱 車中泊続ける被災者

熊本地震の被災者が避難所や自宅から宿泊施設に移る「2次避難」が進んでいない。被災者の自宅近くにある宿泊施設が少ないことなどから、実際の利用は申し込みの4割に満たない。被災者は自宅の片付けや防犯対策などを気にかけて、2次避難に二の足を踏んでいる。

車中泊を続ける被災者

「連日の車中泊で足はむくみ、十分に寝られない日々が続くが、防犯や愛犬の世話で自宅を離れられない」。屋根にブルーシートがかけられた熊本県八代市の自宅軒下で、緒方和博さん(42)は、そうこぼした。猛暑の中、日中は扇風機2台で暑さをしのぐ。

地震で引き戸が壊れ、窓ガラスは割れて床に散乱した。家も玄関側に大きく傾いた。自宅に戻らず、地震発生直後、家族4人で自宅敷地内の駐車場で車中泊を始めた。70歳代の母の健康を考慮し、しばらくすると緒方さん以外は近くの避難所に移った。緒方さんは愛犬と一緒に避難できず、家財道具の防犯のため、車中泊を続ける。

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緒方さんは「物音や車内の温度調節で、夜中に何度も起きてしまう。十分に休息がとれず、日に日に疲れがたまる」と明かした。

移動手段がない高齢者も

車がなく、自宅から離れたホテルで2次避難ができず、避難所にとどまる高齢の被災者も多い。自宅近くにある同県宇城市の松橋西防災拠点センターに避難する女性(81)は「免許を返納し、ホテルから自宅に戻る方法がない。自宅の片付けもまだなので、自由に行き来できないと困る」と話す。余震の恐怖もあり、「ホテルは一人だが、避難所には人がいるので気が紛れる」と語った。

内閣府(防災担当)によると、宿泊施設を2次避難所にする取り組みは2019年頃、台風による避難者への入浴支援を目的に始まった。21年の静岡県熱海市の土石流災害では最大582人、24年の能登半島地震では延べ1万1817人が、それぞれ利用した。

県内の受け入れ状況

熊本県は8月3日から、2次避難を開始。受け入れ施設は同4日時点で114だったが、同31日時点では204に上る。ただ、八代市内の宿泊施設は5施設で、同市内を希望する被災者全てを受け入れられていない。同31日現在、県内で1478件の申し込みが寄せられているが、利用が決まったのは4割弱の554件にとどまる。

県は、移動手段のない人には自治体や宿泊施設による送迎を実施し、看護師による健康観察も行う。担当者は「できる限りニーズに合わせて、調整している。宿泊施設では、避難所と比べてもより快適な環境で過ごせる」と呼びかける。

8月4日から被災者の受け入れを続ける八代市の「さくらホテル」では、これまで家族連れや高齢者ら8人が利用する。約1か月間滞在する人もおり、「避難所ではゆっくり休めなかったが、落ち着いて過ごすことができる」と好評という。ホテルの山本紗矢佳マネジャーは「施設に大きな被害がなかったので、少しでも被災者の方の役に立ちたいと思って続けている」と力を込めた。

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