熊本地震2か月、車中泊避難者支える「見えない避難者」支援の現場
熊本地震2か月、車中泊避難者支援の現場を取材

令和8年熊本地震の発生から間もなく2か月。うだるような暑さが続く8月上旬、記者は1週間ほど被害の大きかった熊本県宇城市を取材した。目に飛び込んだのは、倒壊した住宅や大きな亀裂が走る道路――。被害は想像以上に大きかった。

車中泊を選ぶ被災者たち

7日夜、道の駅「うき」を訪れると、複数の車両からぽつぽつと明かりが漏れていた。車中泊をする被災者たちだった。熊本県八代市の男性(54)は、車窓越しに話を聞かせてくれた。自宅が傾き、余震や風雨でさらに崩れるのではないかと不安に思い車中泊を選んだという。「快適ではないが、避難所よりずっと気が楽だから」と教えてくれた。

しかし、車中泊には熱中症やエコノミークラス症候群など様々なリスクが潜む。7月下旬には、車中泊をしていた高齢者が熱中症の疑いで亡くなったという。

「見えない避難者」に寄り添う支援団体

そんな「見えない避難者」の孤立を防ごうと、地震直後から闇夜の被災地を駆け回る団体があった。一般社団法人「minori」(熊本市)だ。代表理事の高木聡史さん(59)は7日夜、「不安なことはないですか」と、車中泊の人々に声をかけ、飲食物や汗ふきシートなどの物資を手渡した。

高木さんは2016年の熊本地震の際も見回り支援を行ったという。「車中泊避難者は移動性が高く、行政の目が行き届きにくい。地道に声をかけ続け、避難者の安全と安心を守りたい」と語った。

避難所で出会った折り紙の鞠

避難所では、夫と身を寄せる吉田奎子さん(91)と出会った。自宅は倒壊こそ免れたが食器類が散乱し、すぐに生活を再開できる状況ではないという。「こんな目に遭うとは思いもしなかった」と疲れた表情で話した。

そんな吉田さんの段ボールベッドの片隅に色鮮やかな折り紙が置いてあった。吉田さんは「折っている時は集中するから、時間を忘れられる」とほほえんだ。

帰り際、「せっかくお会いできたから」と、折り紙で作った青と黄色の鞠を手渡してくれた。潰れないよう大切に持ち帰り、今も自宅の本棚に飾っている。鞠を見る度に、熊本で出会った方々の顔を思い出す。熊本の一日でも早い復興を願ってやまない。