東京都健康長寿医療センター研究所や大正大などの研究チームは、寺院でお経を読むと心の健康に役立つだけでなく、息を長く大きな声で唱えることでお年寄りの呼吸機能などの改善にもつながるという実験結果をまとめ、専門誌に発表した。
加齢による嚥下機能低下のリスク
加齢などに伴いのみこむ力が弱ると、誤嚥性肺炎を起こしやすい。寝込むなどすると、筋肉が減り、さらにのみこむ力が弱って食べることが難しくなり、健康への悪影響や生活の質の低下が懸念されている。
実際に高齢者の肺炎の7割以上が誤嚥性肺炎とされ、主要な死因の一つだ。介護予防事業などでは、口腔機能の向上のため、口を動かす体操などの取り組みが進められている。だが、機能低下が軽いうちは「自分には必要ない」と効果を知っていても続けていない人が多いという。
読経による口腔筋肉トレーニング
そこで、研究チームは、楽しみながらやりたいと思えるような取り組みとして、文化的な親しみがある読経を取り上げた。普段使わない言葉を高らかに響かせることで、口腔の筋肉のトレーニングになると考えた。
東京都内にあり江戸幕府とのゆかりも深い増上寺(港区)と護国寺(文京区)で、54~91歳の地域住民計44人(平均70.3歳)を対象に、週に1回一堂に会した1時間の講座を計7回開催。講座がない日は自宅で練習をしてもらった。
プログラムの効果測定
講座では、歯科医師の指導のもと口周りの準備体操をしたうえで、多くの宗派で使われる般若心経を2~3回、姿勢を正しく、声を響かせ、なるべく息を長く、口を大きく動かして唱えるといった指導を受けた。
全体のプログラムの前後で、国際的な指標によるウェルビーイング(幸福感)の指数のほか、最大発声の持続時間などの呼吸機能や嚥下機能の計4項目を計測し、比べてみた。その結果、プログラム後のウ…この記事は有料記事です。



