キッセイ薬品の血管炎治療薬「タブネオス」、有効性と安全性に重大な疑義
キッセイ薬品タブネオス、有効性安全性に重大な疑義

タブネオスをめぐる深刻な問題

キッセイ薬品工業が2022年に発売した難病治療薬「タブネオス」をめぐり、有効性と安全性の前提が崩れる事態が発生している。ANCA(抗好中球細胞質抗体)関連血管炎の治療薬として期待されたこの薬は、アメリカのバイオベンチャー・ケモセントリクス社が創製し、キッセイが国内での開発・販売権を取得した。しかし、今年に入り臨床試験データの信頼性に問題があることが判明。米国では4月に、欧州では6月26日に承認撤回が検討される事態に発展している。

発売後の死亡例と安全性への懸念

タブネオスは発売からわずか4カ月後に患者の死亡例が報告された。ANCA関連血管炎は国の指定難病で、適切な治療をしなければ死に至る疾患だが、従来のステロイド大量投与に代わる新薬として期待されていた。国内の推定患者数は約2万人で、これまでに約8500人がタブネオスの投与を受けた。キッセイ薬品の今期売上高予想957億円のうち、タブネオスは約127億円を占める見込みだったが、業績への影響は避けられない。

臨床試験データの信頼性問題

問題の発端は、FDA(アメリカ食品医薬品局)の調査により、第3相臨床試験「ADVOCATE」のデータ信頼性に疑義が生じたことだ。この試験では、薬剤投与群とプラセボ群を担当者が判別できない「盲検化」が行われていたが、FDAによれば盲検化を解かれた担当者が評価項目の結果を操作し、有効性を示せていなかったデータを有効に見せかけた疑いがある。日本では厚生労働省とPMDA(医薬品医療機器総合機構)が対応を協議中で、すでに新規患者への投与を見合わせる医療機関も出ている。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

キッセイ薬品の責任と今後の課題

他社からライセンス導入した医薬品の“有事”に、導入企業がどこまで主体的に対応できるかが問われている。キッセイ薬品は開発元から詳細な情報が明かされていないとしているが、国内販売権を持つ企業としての責任が改めて浮き彫りになった。今後の対応次第では、患者への影響だけでなく、企業の信頼や収益にも長期的な打撃を与える可能性がある。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ