不慮の子の死亡率全国最悪の香川、CDRで検証開始 自殺事例の分析が課題に
不慮の子の死亡率全国最悪の香川、CDRで検証 自殺分析が課題

香川県内で不慮の事故による0~14歳の子どもの死亡率が全国で最も高いことが分かった。県は2020年度に米国発祥の「チャイルド・デス・レビュー(CDR)」を国のモデル事業として導入し、医療機関や県警、県、消防などが連携して死亡事例を検証している。

全国で最も高い死亡率

県などによると、2015~23年の9年間で、窒息や溺水といった不慮の事故による0~14歳の子どもの死亡率は10万人当たり約3.3人で、全国で最も高い。県はこの状況を重く見て、CDRに着目した。

県の委託を受けた日本小児科学会香川地方会(三木町)が死亡診断書などのデータを収集し、詳細な検討が望ましい事例を選定。専門医や看護師のほか、県警や地検、県、県教委の担当者ら約30人による「多機関検証委員会」が、死亡に至った背景や原因を一つずつ検証し、複数の事例に共通する傾向を見つけて予防策を提案する。

乳児の睡眠環境をめぐる議論

睡眠時に死亡した乳児の事例を検証した際は、乳児の睡眠環境について話し合う中で、子育て家庭が寝かしつけに使うことが多い「おくるみ」や乳児用の寝袋、抱き枕といった「安眠グッズ」のリスクが話題になった。

委員会のメンバーは、乳児が大きな音や光、急に体勢が変わった時の外からの刺激に反応し、何かにしがみつくように見える動き「モロー反射」に注目。乳児が反射で目覚める回数を減らそうと安眠グッズを使うことで、予期せぬ事故につながるとの懸念を示した。グッズは乳児の睡眠中の自由な動きを妨げ、例えばおくるみで巻かれた乳児が睡眠中に寝返りをすると、手足が動かせないため元の体勢に戻れず、窒息の恐れもあるという。

メンバーからは「寝ている乳児の周りに柔らかいクッションを置かないよう注意喚起を」「親が近くで見守る大切さを訴えるべきだ」といった意見が出た。

自殺事例の検証が課題

香川でのCDRの導入を長年訴え、委員会の設立後は事務局長を務める四国こどもとおとなの医療センター(善通寺市)医師の木下あゆみさん(52)は、香川のCDRで自殺の検証が少ないことを課題の一つに挙げる。

自殺をした子どもの事例は、個人情報保護の観点から個別に検証するのが難しい面があるという。木下さんは「これ以上の自殺を防ぐためにも、20年以降の子どもの自殺の事例をすべて集約し、年代や死亡の状況、精神科受診の有無などを調べ、注意が必要なケースを洗い出すべきだ」と求める。

木下さんは全国でCDRを実施する自治体を増やそうと、各地で模擬の検証を披露したり講演をしたりする活動にも従事する。関係者と意見を交わして感じるのは、「自分たちが責められるかもしれない」との懸念から、CDRの導入に尻込みする自治体などが少なからずあることだ。

木下さんは「CDRは誰かの失敗を責める場ではなく、子どもの命のことを前向きに話し合う場であるということを伝えていきたい」と話す。