記者が向き合うトラウマ 専門機関が伝える実践的対策とは
記者が向き合うトラウマ 専門機関が伝える実践的対策とは

2001年9月11日の米同時多発テロで、取材中に世界貿易センタービルの倒壊に巻き込まれて亡くなったアメリカ人フォトグラファー、ビル・ビガートさん(享年54)の遺品のカメラや記者証が、写真に写っている。

ビガートさんはカメラ3台を持って現場に走り、取材中にすぐそばで南棟が崩壊。命からがら逃げて来る人や消防士らの救助活動を撮影し続けた。その後、北棟も倒壊し、ビガートさんは4日後、がれきの中から遺体で発見された。

「記者という職業は危険と隣り合わせ」

ビガートさんの遺品の写真を見せながら、「記者という職業は危険と隣り合わせであり、トラウマ(心の傷)になる場面に遭遇することがあるということです」と語るのは、心理学者のケイト・マクマーン博士。オーストラリアのメルボルンにある「ダートセンターアジア太平洋支部(現在はアジア太平洋ジャーナリズム・トラウマセンター、CJT)」の創設者だ。

事件事故や災害を取材する記者たち自身が負うトラウマ(心の傷)の存在が近年、知られるようになり、リスクを減らすための取り組みが進んでいる。惨事に遭遇しトラウマを抱えた当事者にどう取材するかも課題だ。取材相手を傷つけず、記者自身も傷つかないためには、何が必要なのか。

新聞週間の連載で考える

秋の新聞週間(10月15~21日)に考える連載の2回目(全3回)として、事件事故や災害、戦争などでトラウマを抱えた記者たちの現状と、専門機関が伝える実践的な対策を紹介する。