事件の概要
警視庁は、日本郵政の構造計画担当グループリーダーだった元社員の城戸隆宏容疑者(54)を、日本郵政株式会社法違反(収賄)容疑で書類送検した。東京地検が近く刑事処分の可否を判断する見通しだ。
捜査関係者によると、元社員は約10年にわたって総額約1億円の接待や現金の提供を受けたとみられる。また、日本郵政グループでは、傘下の日本郵便の元主任が特定の業者に便宜を図った見返りに接待などを受けていた疑いで5月に逮捕された事例もある。
麴町プロジェクトでの便宜
元社員は、日本郵政の複合ビル建設計画「麴町プロジェクト」において、東亜鉄工建設(愛知県)を下請け業者に加えるよう大手建設会社に働きかけた。その見返りに、2023年8月~2024年6月ごろ、飲食接待や現金など計約500万円分の利益提供を受けた疑いがある。
接待や現金を提供したとして、東亜鉄工建設の男性社長(54)も同法違反(贈賄)容疑で書類送検された。警視庁は証拠隠滅や逃亡の恐れがないとして、任意で捜査した。
計画の詳細とその後
工事は2023年7月に入札が公告された「麴町プロジェクト」で、東京都千代田区の麴町郵便局を建て替え、オフィスなどを入居させた地上11階、地下2階建ての複合ビルをつくる計画だった。当時日本郵政グループは「集配機能の維持を目的とした局舎建て替えと、不動産開発の両立を目指す初めての事業」と説明していた。
元社員は入札公告の際、元請け業者として関心を示していた大手建設会社に東亜鉄工建設を下請けに加わらせるよう働きかけたという。東亜鉄工建設は下請けとして工事に参加する見込みとなったが、入札は不調となり、計画は実現していない。
元社員は、この働きかけの見返りとして、東亜鉄工建設側から現金約250万円、約200万円分の飲食接待、約25万円分のホテルの宿泊代の提供を受けた疑いが持たれている。元社員はその後、日本郵政のグループ会社に出向し、2026年3月に懲戒解雇された。
初の摘発
警察庁によると、日本郵政株式会社法違反での検挙は全国で初めてという。



