「法の日」の10月1日、広島高検の加藤俊治検事長(60)が読売新聞のインタビューに応じ、高検の役割や検察を巡る課題について語った。
法の意義と高検の役割
法の意義について、加藤検事長は「法は私たちが安心、安全に暮らすことができる社会の基礎を形作っている」と説明。道路交通法や民法を例に挙げ、「多くの人が納得できる社会の基本的なルール」を文字にしたものが法律だと述べた。
現在関心を寄せている法律としては、2027年3月末までに施行予定の改正刑事訴訟法を挙げ、刑事手続きの記録が電子データ化されることで、手続きの迅速化や効率化が期待できると話した。
高検の役割については、「地検よりベテランの検察官が配置され、地検に助言や助力をする」とし、控訴された裁判で高裁の審理に際しては高検の検察官が公判活動を行うと説明した。
社会の声と公平の観点
検察の求刑に「軽すぎる」といった声が上がることについては、「そのような社会の声は常に真摯に受け止めるべきだ」としながらも、「法律を適用する際、公平の観点も忘れるわけにはいかない」と指摘。その上で、被害者や遺族の立場を尊重し、社会常識にかなう対応をしていく必要があると述べた。
大阪、東京両地検での不祥事については、個別の事案への言及は避けつつ、「事件関係者との不適切な形での交際があれば公正さが失われてしまうし、捜査の過程での違法行為は決して許されず適正であることが求められる」と強調。自分たちの責任の重さを認識することが必要だと語った。
信頼回復への取り組み
国民からの信頼を得るために必要なこととして、「一つひとつの事件に真面目に向き合って、丁寧に対応していくことしかない」と述べ、「一度失われた信頼を取り戻すのが容易でないことは、検察共通の認識だ」と語った。
国民が法や検察への理解を深めるには、「法律は空気と同じで、普段はその存在を意識しなくてよいが、必ず必要なもの」とし、「法の力を支えているのは、まさに国民一人ひとりの意識だということを知ってほしい」と呼びかけた。実際に裁判の傍聴に行き、検察や法がどのように動いているのかを見てほしいと話した。
加藤検事長は東京都出身。早稲田大を経て、1992年に任官。最高検総務部長や名古屋地検検事正などを経て、8月から現職に就いている。