B型肝炎訴訟20年、除斥期間との闘い…九州弁護団代表が語る現状
B型肝炎訴訟20年、除斥期間との闘い…九州弁護団代表が語る

幼少期における集団予防接種の注射器の使い回しを原因とするB型肝炎の訴訟は、国の責任を認めた最高裁判決から今年で20年となる。しかし、いまだ全面的な解決には至っておらず、救済を求める訴訟が各地で続く。九州弁護団代表を務める小宮和彦弁護士(70)にこれまでの取り組みと現状の課題について聞いた。(藤本鷹史)

九州弁護団結成の経緯

「北海道の原告5人が2006年に最高裁で勝訴し、全国の被害者を救済しようと九州でも弁護士が集まり、07年に弁護団を結成した。定期的に勉強会を開き、これまでの訴訟資料や医療文献を読み込んだ。電話相談会などで患者を掘り起こし、08年に福岡地裁に提訴した」

B型肝炎の現状と課題

B型肝炎はウイルスを消滅させる薬はなく、感染すると一生抱えていかなければならない。「日常生活では感染しないとわかっていても家族との接触を避けたり、差別偏見を恐れて結婚を思いとどまったりする人もいた。無症状のケースも多いが、いつ発症するかは不明で、自覚がないうちにがんが進行する人もいる」

基本合意と除斥期間の闘い

11年に全国弁護団と国との間で基本合意が成立し、給付金が支払われる仕組みができたが、発症から20年を経過すると、満額の4分の1以下に減額される内容だった。

「訴訟は不法行為から20年で賠償請求権が消える『除斥期間』との闘いでもある。幼少期の集団予防接種で感染しているため、感染時を起点とすると20年を超えてしまう。このため、基本合意では発症時を起点とすることで患者を救済した。『除斥差別』が残り、納得できない点もあったが、重症の患者もおり、生きている間の早期解決を優先するための苦渋の決断だった」