南紀白浜―羽田で日航が機材小型化へ、燃油費高騰で対象便を変更し来年3月まで
南紀白浜―羽田で日航が機材小型化へ、燃油費高騰で来年3月まで

南紀白浜空港(和歌山県白浜町)と羽田空港(東京)を1日3往復している航空便の一部で、日本航空は25日から機材を小型化する。座席数の少ない別機種での運航を対象便を変えながら2027年3月末まで続ける。燃油費の高騰などが背景にあり、27年度の計画は未定。航路の利用状況は好調で7~9月の搭乗者数は、各月の過去最多を記録していただけに、関係者の間には戸惑いが広がっている。

対象便を変えながら来年3月末まで

県港湾空港振興課によると、現在1日3往復しているボーイング737―800型機(165席)が、一部でエンブラエル190型機(95席)に置き換わる。日航側から、円安などの影響で整備費や燃油費が高騰し、経営環境が厳しいとの説明を受けたという。

3往復している便は、朝や昼、夕方に南紀白浜空港に着陸後、東京に折り返している。小型化の対象は25日~1月31日が昼便、2月が朝便と昼便、3月が朝便。日航が8月、冬ダイヤを定めた際、今回の機材変更を盛り込んだという。

日航は、読売新聞の取材に「路線ネットワークを将来にわたり持続的に維持・運航するための最適な判断として決定した」と回答した。イベントなどで大きな需要増が見込まれる場合は「臨時便の設置や一時的な機材の大型化など、機動的かつ柔軟な対応に努める」としている。

整備費や燃油費が高騰

国土交通省航空局の調査では、日航と全日本空輸を合わせた営業費用は、2018年度は2兆8000億円台半ばだったが、24年度には約3兆3000億円へと約16%増加。24年度の内訳は、整備費が3882億円(18年度比で69%増)、燃油費が7931億円(同36%増)だった。

E190型機ならB737―800型機と比べ、燃油費や羽田空港への着陸料を抑えられるという。

県港湾空港振興課のまとめでは、東京―南紀白浜便の搭乗者数は25年度、24万1811人で過去最多を記録。26年度も7~9月の月別搭乗者数は2万1000~2万7000人台で推移し、各月の過去最多を更新した。

県は、搭乗者に周辺の遊園地フリーパス引換券を贈るなど利用促進に力を入れてきた。将来の便数増や機材の大型化、滑走路延伸も見据えていただけに今回の日航の決定について、同課の担当者は「大変な逆風」と受け止めている。

8月に決まった冬ダイヤの対象期間は27年3月末までで、県は「4月からの夏ダイヤで機材が元に戻るよう、日航へ働きかけていく」考えだ。

観光客中心で利幅が薄い実態

利用者が増えている東京―南紀白浜便がコスト削減の対象になった背景には、観光目的の旅客が多い、南紀白浜空港特有の事情もあるようだ。

航空券の価格は、予約時期や需給状況などによって変動する。搭乗の数か月前であれば比較的安く、搭乗日が近づくほど上がり、観光客は早い段階で予定を立て、安価な航空券を予約する傾向にあるという。国交省航空局の担当者は「観光客で席が埋まっても稼げないのが実態」と指摘するが、利幅の厚いビジネス客の大きな増加は期待できない状況だ。

観光庁の調査によると、国内で「出張・業務」のため航空機で日帰り旅行をした日本人客は、19年に延べ約317万人だったが、24年は延べ約103万人と3分の1以下に減った。コロナ禍を経てオンライン会議が普及したことも要因とみられる。

機材の小型化を受け、南紀白浜空港を運営する南紀白浜エアポートの担当者は「大変な悲壮感がある。利用促進の努力が実っても、こうした決定になるのなら、頑張って何とかなる話ではなくなる」と危機感を示している。