願心寺本堂、国重文指定へ 和洋折衷様式を評価 県内寺院建造物で初
願心寺本堂、国重文指定へ 和洋折衷様式評価 県内寺院で初

国の文化審議会が16日に行った文部科学相への答申で、県内からは「願心寺(がんしんじ)本堂」(都城市庄内町)が国重要文化財に指定される見通しとなった。「教会堂」を思わせる和洋折衷の斬新な建築様式が評価された。正式に決まれば県内の国重文は計27件となり、寺院の建造物では初という。

明治期に建てられた総ケヤキ造りの本堂

願心寺は浄土真宗本願寺派の寺院で、1878年(明治11年)に開設された説教所を起源とする。総ケヤキ造りの本堂は、鹿児島県の棟梁の手で1906年(同39年)に完成した。門徒総出で霧島山系から用材を数十日かけて運んだとも伝えられる。94年に大修復が行われ、2004年に国登録有形文化財となった。

洋風意匠と独自の構造が特徴

宮崎県教委などによると、本堂は「ペディメント」と呼ぶ三角形の装飾を施した上げ下げ式の窓を配置。内部も照明具にシャンデリアをつるし、障子ではなくガラス戸を用いるなど、各所に洋風の意匠を採り入れている。大半のガラスは完成当初のものだという。

また、本堂正面には門のような「向拝」が設けられている。この向拝は本体の屋根が前方に張り出した形状ではなく、屋根に別の建物が付いたような独特な構造となっている。屋外にあることが多い広縁も本堂内に造られている。

評価と関係者の声

文化審はこれらの特徴について、「教会堂のような異形の寺院本堂」「極めて特異な構成と独創的な意匠も備える」などと答申で評価した。

都城市教育委員会の担当者は「本願寺派が明治期に西洋の文化や考えを取り入れようとした動きが地方にも波及したと考えられる」と指摘する。

答申を受け、願心寺の大河内隆之住職(79)は「本堂を造った人々や、今日まで護持してきた先祖の思いをかみしめている。『地域と共にあるお寺』として今後も広く開放していきたい」と話した。

県内の建造物では、高千穂神社本殿(高千穂町)や鞍埼灯台(日南市)など12件が国重文に指定されている。