大阪府貝塚市の地層から約30年前に発掘され、長年資料館に眠っていた岩塊に、新種の可能性がある白亜紀後期の海生爬虫類「モササウルス類」の化石が含まれていたことが、岡山理科大などのチームの発表で明らかになった。7月に発表された今回の発見には、一人の学生の熱意が大きく関わっていた。
学生の熱意が化石を目覚めさせた
発見のきっかけは、岡山理科大大学院生の高野恭明さん(23)。絶滅動物を研究する研究室に所属し、大学4年生だった昨年、卒業論文の準備のため、大阪府岸和田市の「きしわだ自然資料館」にほぼ毎日通っていた。同館に保管されていた別のモササウルス類の化石を調べるためで、開館時間いっぱいまで標本の計測や他の化石との比較に取り組み、「もう少しやらせてください」と頼んで閉館後も作業を続ける日々だった。
その姿に心を打たれた学芸員たちが、高野さんに岩塊を託した。岩塊は1992年頃、化石愛好家が大阪府貝塚市の地層で発掘したもので、複数の化石が含まれていた。一部はクリーニング済みだったが、岩塊のままのものもあり、資料館にはクリーニングの設備や専門知識を持つ人がいなかったため、長年保管されていた。
約1年の作業で国内初の化石
高野さんは研究室の教授らとチームを結成し、初挑戦のクリーニング作業に着手。化石を傷つけないよう細心の注意を払いながら岩を削り、約1年かけて、国内初の発見となる上あごの先端など四つの化石を取り出した。高野さんは「これで種類の特定につながるかも」と興奮したといい、他の化石と合わせて解析した結果、新種の可能性があることも分かった。
岩塊を託した風間美穂学芸員は「いい指導者の下で熱量をもって研究する学生と出会えたことから生まれた大発見。30年の時を待っていた化石も見つけてもらって喜んでいると思います」と話す。
高野さんは小学校に上がる前から恐竜に夢中で、実家の部屋はポスターやフィギュアで溢れている。「せっかく大学で学ぶなら、好きな恐竜を研究したい」と進んだ道で、「一念岩をも通す」ということわざ通り、その熱量が大きな成果を生んだ。



