愛知県警は7日、総合化学大手「旭化成」(東京)の元社員、古川祥一容疑者(66)=静岡県富士市富士見台3丁目=を不正競争防止法違反(営業秘密の開示)の疑いで再逮捕し、発表した。半導体製造に欠かせない絶縁材に関連する情報を持ち出し、海外企業の関係者に漏らしたとされる。県警は認否や漏洩先を明らかにしていないが、旭化成は中国企業への情報流出が確認されたと説明している。
退職時にハードディスクを持ち出し
県警によると、再逮捕容疑は2018年11月30日ごろ、旭化成を退職する際、半導体製造に必要な感光性絶縁材の品質管理に関する情報が入ったハードディスクを持ち出し、24年9月12日ごろ、海外企業の関係者に情報をメールで送信したというもの。
主要製品「パイメル」の情報
絶縁材は「パイメル」の商品名で販売されている液状の材料で、旭化成によると、半導体素子の表面の保護膜などに使われ、同社の半導体関連事業では主要な製品の一つ。流出したのはその品質管理に有用な、原料に関する情報という。
旭化成によると、古川容疑者は1984年に同社に入社し、パイメルの研究や開発などに従事。2005~09年にはパイメルの製造工場の工場長も務めた。
別製品の情報漏えいでも逮捕
容疑者は9月、半導体製造に使われる別製品の情報を、海外企業側にメールで送ったなどとして同法違反容疑で逮捕されていた。県警によると、送信先は今回と同じアドレスだという。名古屋地検は10月7日、この容疑について処分保留とした。
旭化成は「多大なご迷惑とご心配をおかけし、心よりおわび申し上げる。再発防止策を徹底し、企業倫理とガバナンスの強化に全力で取り組む」などとコメントした。