総合化学大手「旭化成」(東京)の元社員の男(66)=静岡県富士市=が、半導体製造にも使われる硬化剤に関する情報を外部に漏らしたとして、愛知県警は17日、不正競争防止法違反(営業秘密の開示)の疑いで逮捕し、発表した。県警は認否を明らかにしていない。旭化成は中国企業への情報流出が確認されたと説明している。
退職時に記録媒体を返却せず、海外企業関係者に送信
県警によると、男の逮捕容疑は、旭化成社員だった2018年11月30日ごろ、退職に際し、営業秘密にあたる硬化剤の製造に関する情報が入った記録媒体を返却せず、24年9月13日ごろ、海外企業の関係者に情報をメールで送信し、営業秘密を漏らしたというもの。
男は18年11月に退職し、名古屋市の化学メーカーなどに転職。県警は24年8月、この化学メーカーから別の営業秘密の漏洩に関する相談を受け、25年4月に男の自宅を家宅捜索したところ、今回の容疑が浮上したという。
「ノバキュア」の情報、一部社員のみアクセス可能
旭化成によると、硬化剤は「ノバキュア」の商品名で販売され、半導体製造や別の製品への取り付け、自動車や土木などの分野で使われている。男は1984年に入社し、電子材料関連の開発業務に従事。当該の情報は、一部の社員しかアクセスできないよう制限がかかっていた。
旭化成は男への聴取は行っていないが、中国企業への流出を確認したとしている。今後、男と中国企業を相手取り、情報の利用停止や廃棄を求め、民事訴訟を起こす方針という。
旭化成は「皆さまに多大なご迷惑と心配をおかけし、深くおわび申し上げる。捜査に全面的に協力します」などとするコメントを出した。



