江戸時代後期に松江城下で暮らした町人・太助(1780~1855年)の日記を通じて、当時の暮らしの一端に触れる企画展「松江の町人 太助の日常―つらつら、おぼえ日記―」が、松江市立松江歴史館(松江市殿町)で23日まで開かれている。
約30年間の生活を記した日記
太助は14歳の時から、ロウソクの原料を作る豪商の新屋に勤めた。晩年まで商家との関係は続き、生き字引として活躍したとされる。40歳代後半から亡くなる少し前までの約30年間の生活を「大保恵日記」と題して残した。
全4冊で、家族や仕事、余暇活動などについて自身の心境を交えて書かれている。「庶民生活史の宝庫」として評価され、市指定文化財にもなっている。
日記に綴られた赤裸々な日常
40歳代後半の日記には、勤め先の商売が傾いて金策に苦労する中、融資を断られたこと、悪いうわさが広まって「借家から出て行ってほしい」と言われたことなどを赤裸々につづった。
70歳代の頃は、杵築大社(出雲大社)周辺の町人らが松江藩の許可を得て行っていた現代の宝くじに似た「富興行」に参加。抽選会場に行けない時、家の中にいたクモを捕まえて、当たれば神とたたえ、解放してやるといった願掛けの様子が書かれている。
ささいな夫婦げんかの内容やコメを買う金を次男がへそくりから融通してくれたことも細かく記録。晩年の日記には、視力は衰えず、足腰は丈夫と記した。
関連資料約70点を展示
企画展では、こうした日記の内容に触れつつ、太助の妻の友人宅を訪れた際に振る舞われた食事の再現模型、富興行で使われた道具、松江城下の絵図など関連する約70点を並べた。笠井今日子・主任学芸員は「日記からは生活全般の豊かな記録とともに心境も分かる」と話す。
企画展は午前9時~午後5時。14日休館。19日には景品が当たる「富くじ」抽選会が行われる。入館料は歴史館のホームページで。問い合わせは歴史館(0852・32・1607)。



