「仲がいい証拠」とされる飲み会での「容姿いじり」が、実は相手を追い詰めている可能性がある。相手が笑っていても、内心では傷ついているかもしれない。この問題について、前川裕奈氏(kelluna.代表)とウィルソン麻菜氏(ライター)が警鐘を鳴らしている。
「笑ってるから大丈夫」は危険な思い込み
「えー、そこまで気にしてられないよ!相手がどう感じるかなんて、結局のところわからなくない?」そう思う人も多いだろう。しかし、前川氏は「それを考えてあげられるのが友達やパートナー」だと指摘する。反応がいつもと違うと感じたら、「どうした?ごめん、私の言ったことかな?」と聞いてみることが大切だという。
また、自分がいじりの渦中にいなくても、周りで見ていて「本当は嫌なんじゃないか?」と思ったら、確認してみるのも有効だ。漫画の中では、杏子が割って入ったことで、大輝が自分の気持ちを伝えられた。直接言いにくい場合は、後でこっそりといじられていた本人に「あれ大丈夫?」と聞くだけでも、大きな違いが生まれる。
第三者への配慮も不可欠
二つ目のポイントは、その場にいる「第三者」の存在だ。「二人の関係性ではOKだから」と言っても、周りに聞いている人がいるなら、その人にも配慮が必要。例えば「太ったな~!」と言われた本人が気にしなくても、それを聞いた誰かが自分の体型を気にして嫌な思いをする可能性がある。
いじりは、いじられた本人だけでなく、周囲の人間にも影響を与える。職場の飲み会では特に、上下関係や立場の違いから、言いたいことを言えない人も多い。上司が部下を容姿でいじる行為は、たとえ笑いが起きていても、ハラスメントになり得る。
「いじり」が引き起こす深刻な影響
容姿いじりは、単なる冗談で済まされない。繰り返されることで、相手の自己肯定感を低下させ、うつ病や摂食障害などの精神疾患を引き起こすリスクもある。特に、若年層や女性は外見へのコンプレックスを抱えやすいため、注意が必要だ。
実際、職場のハラスメント相談の中でも、「容姿に関する発言」は増加傾向にある。厚生労働省の調査によると、パワーハラスメントの相談件数は年々増加しており、その中には「外見の否定的な指摘」も含まれている。
「いじり」をやめるためにできること
まずは、自分がいじる側に回っていないか振り返ることが重要だ。「仲良しの証拠」という言葉でごまかさず、相手が本当に笑っているかどうか、敏感になる必要がある。もし周りでいじりが行われていたら、勇気を出して止めるか、後で本人に声をかける。
また、飲み会の場では、参加者全員が気持ちよく過ごせるよう、話題選びにも気を配りたい。容姿ではなく、趣味や仕事の話など、誰もが参加しやすい話題を心がけると良い。
次ページでは、後輩のために上司の「いじり」にノーと言った人の事例を紹介する。



