軽巡洋艦「長良」潜水調査、今月下旬開始へ ダイバーが直接撮影、遺骨収集はせず
軽巡洋艦「長良」潜水調査、今月下旬開始 ダイバーが直接撮影

太平洋戦争中に撃沈され、熊本県天草市・牛深沖の海底に眠る日本海軍の軽巡洋艦「長良」の潜水調査が、今月下旬にも始まる見通しとなった。今回は映像や写真による記録が目的で、遺骨や遺品が見つかっても収集はしない。遺族らには船体が海中の墓標となっており、「長良がどんな状態なのかを見てみたい」「写真を形見がわりにしたい」と調査の成功を願う声が聞かれた。

長良の沈没とこれまでの経緯

「軍艦長良記念館」を管理・運営する市社会福祉協議会牛深支所によると、長良は1944年8月7日、長崎県佐世保市に向かう途中、米潜水艦の魚雷を受けて沈没し、乗組員583人のうち348人が犠牲となった。乗組員と親交のあった地元の佐々木ツルさん(1986年に死去)が犠牲者の供養を続け、私財で慰霊碑を建てた。遺志を受け継いだ同支所は毎年、慰霊の行事を営んでいる。

同記念館には、ロープでつるしたカメラを海中に沈めて撮影したとされる古い写真が残っているが、長良の特徴的な部分は写っていないという。今回の調査ではダイバーが直接、海中で撮影に挑む。初の試みで、マストなどに注目し、長良であることの確認を優先する。

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調査の目的と遺族の思い

目的は現状の記録で、遺品や遺骨が見つかった場合は収集せず、関係者と対応を検討する方針。「海軍の軍人として船と一緒に眠っている。そのままの状態で慰霊をしてほしい」という遺族の思いなどに配慮した。

長年にわたって慰霊を続け、調査にはボランティアとして携わる福本壮一さん(71)は「撮影できれば、地元の人たちに現状を報告して写真展も企画したい。平和学習の教材としても活用できる」と語った。

遺族からは調査に期待する声が上がる。長良に乗艦していて亡くなった弦巻仁一郎さんについて、長男・克也さん(87)(名古屋市緑区)は「仕事から帰るとニコッと笑って、ポケットから丸いパンを出してくれた。優しい父だった」と幼少期の記憶を呼び起こす。次男の直秀さん(84)(新潟市)と共に、「遺骨も(手元には)ないので、船の状況がわかる写真を形見がわりにしたい」と願っている。

艦長の孫も期待

長良の沈没からちょうど20年後に生まれた西中誠一郎さん(61)(東京都練馬区)は、祖父で艦長だった中原義一郎さんを失った。「歴史を語り継いでいく上でも、現在どんな状況なのかを映像で知ることは貴重だ」と話す。

潜水するのは3人のダイバーで、1人は水中探検家の伊左治佳孝さん(37)だ。山口県宇部市沖の「長生炭鉱」での遺骨収集、5月にラオスで住民7人が洞窟に閉じ込められた遭難事故の救助にも参加した経験がある。伊左治さんは「多くの人が長良に関わり、慰霊を続けてきた事実を知るきっかけにしてほしい」としている。

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